2018年11月21日水曜日

水道の民営化

2018.11.20 東京新聞
浜松市が、本年度中に水道事業民営化の是非を決めるらしい。この記事を読んで衝撃を受けた。僕ははっきりと水道民営化には反対だ。

まず、記事によると必要性が疑わしい。浜松市の水道事業は黒字だし、もちろん水道水として安全に飲める水質だ。当面は民営化の必要性は無いだろう。

そして、心理的に、水道水のような生活に不可欠なインフラは、決して市場原理で運営してはならないと思う。儲けを最大限するインセンティブで、命に直結する事業を運営するのは怖い。

いち早く民営化を進めたベルリンやパリでは、期待していた料金値下げや、質の高いサービスが出来ずに再公営化されたらしい。その結果も前例として検証すべきだろう。

2018年11月20日火曜日

Taylor Swift@東京ドーム

テイラー・スウィフトの東京ドーム公演に行ってきた。テイラーは、SNSで民主党の議員支持や投票を呼び掛けるなど、政治的な発言をしているので、どうしても応援したかった。そんな理由で参加したのは僕だけだと思う。

ライブは、テイラー自体はとても良かったのだけど、観客のマナーが悪すぎて、ちょっと興ざめしてしまう残念な内容だった。とくに中盤、テイラーがサブステージに移動した際に、多くの人が椅子の上に立ち上がって動画撮影を始めたのは酷かった。

前にベビー・メタルのライブの感想に書いたが、ベビメタのライブは、観客のマナーがとても良く、近年珍しく誰一人としてスマホ撮影をすることない、参加していて気持ちの良いライブだった。その要因は、ライブが始まる前に、注意事項を繰り返し場内アナウンスしていたからだと思う。

今回の東京ドーム公演では、そのような注意事項のアナウンスが全くなかった。その結果このようなことになったのではないかと思う。会場は周りの迷惑を考えずに動画撮影する人だらけだし、スタッフの注意を無視して、多くの人が椅子の上に立ち上がっていた。

繰り返しだが、テイラー・スウィフト自体はとても良かった。ポップミュージックの頂点を極めたのに、すごく庶民的で、ファンを大切に思う気持ちがストレートに伝わってきた。こんなに身近に感じる「セレブ」は他に知らない。終盤で見せたピアノソロも秀逸で、勢いに頼らない、揺るぎない実力を見せつけた内容だった。

2018年11月18日日曜日

型破りは面白い

まず、前回から1週間も空いてしまった。娘の体調が良くなくて、夜中に嘔吐したり、咳が止まらなかったりして、本当に可哀相だった。毎回思うのだが、代われるものなら代わってあげたい。小さな身体で一生懸命病気と闘っているのをみると切なくなる。大げさかもしれないけど、これも親心なんだと思う。

さて、話題の映画「華氏119」をみた。ムーア作品らしく、ウィットに富む内容で、とても面白く、そして考えさせられる映画だった。特に、ミシガン州フリントという町で起きている水質汚染問題は、これは普通に「殺人」が行われているに等しいんじゃないか、と思うくらい衝撃的な内容だった。

この「華氏119」をはじめマイケル・ムーアの作品はどれも本当に面白い。「これはおかしいんじゃないか?」と思う社会問題に対して、データや事実の積み上げ、国際比較などを通じて、論理的で説得力のある批判を行っていることが要因なのは間違いないが、それ以上に「型破り」であることが「面白さ」の最大要因なんじゃないかと思う。

誰もやったことのないことをやる。常識や、社会のトレンドに巻き込まれることなく、自分は「コレなんだ」だと思うことに挑戦する。最近みた作品では「カメラを止めるな」もそうだし「ボヘミアン・ラプソディー」で描かれた「クイーン」もまさに「型破り」なバンドだった。これまで見たことも聞いたこともない。だから「型破り」は圧倒的に面白い。


2018年11月10日土曜日

ボヘミアン・ラプソディー

公開されたばかりの「ボヘミアン・ラプソディー」を見た。フレディ・マーキュリーの伝記ともいえる作品で、今年見た中で一番感動した映画だった。クイーンを知ってる知らないに関係なく、誰でも楽しめる一級のヒューマンドラマだと思う。見てね。

ちなみに僕の初めてのライブ体験はブライアン・メイ。高校の時、友人4人と中野サンプラザに聴きに行ったのをよく覚えている。ラブ・オブ・マイライフが好きで、ブライアンが奏でてくれて本当に嬉しかった。

数年前にはアダム・ランパートをVoに迎えてサマソニにも来た。その時のライブもとても素晴らしく。クイーンってこんなにドでかい音を鳴らすんだ~って思ったのを覚えている。あと、一番好きなアンダー・プレッシャーを演ってくれて感涙ものだった。

クイーン世代ではなく、聴き始めたころにはフレディはもう亡くなっていたけど、僕にとってクイーンは特別だ。そして恐らく、多くの人にとっても同様に特別なバンドなんだろうなと思う。アルバムセールス累計3億枚。間違いなくその数字以上に愛されている。

2018年11月9日金曜日

TIMELESS

朝吹真理子さんの新刊「TIMELESS」を読んだ。直線にするとすごく短い話だけど、回り道をしていたらいつの間にか時間が過ぎていた。そんな感じを受けた小説だった。7~8年前に読んだのでうろ覚えだが、芥川賞受賞作「きことわ」も同じような感じのする小説だったと思う。

文章だけでなく、物理的な行間や、紙質、紙色、本を構成するすべての要素から、どこか無機的な冷たさが伝わってきて、でもそれを美しいと感じる。物語を読んでいるというより、アートに触れているといった気持になる。本を触媒として、自分のなかにも記憶に結び付いた情景が浮かび上がってきた。

僕の好きなThe Durutti Columnの曲が流れる場面があって、そこに強い親近感を覚えた。Antony and the Johnsonsもそう。どちらもこの本と一緒で、美しくて、少し哀しくなる。決して「面白い」と言える内容ではないのだけど、僕はこういう物語がないと人生が生きにくくて困ると感じてしまう。

2018年11月7日水曜日

水曜日のカンパネラ@新木場SC

水曜日のカンパネラ@新木場スタジオコースト。写真は入場時に渡された特典シール。アジアツアーをしているだけあって、なんかアジアっぽいし、昔のブロマイドっぽい。

デビューしたての頃からライブを観ているが、今日のライブは移行期というか、進路模索中のような感じだった。勢いがあるわけではないが、落ち着いてしまっているわけでもない。あまりMCを挟まずに、シームレスに曲を繋いだのは「聴かせる曲」が多いセトリに対し、集中力を高める効果があって良かったと思う。

新譜「ガラパゴス」は初期の面影を感じさせないしっとりとしたアルバムだった。可能性と多様性を感じさせたし、今後を十分に期待させる内容だったと思っている。チケットの売れ行きが振るわず、客入りは今一つだったが、あまり気にせずに自分の道を突き進んで行ってほしい。

2018年11月6日火曜日

自己責任論の件②

2018.11.06 東京新聞
安田さんの自己責任論について、東京新聞の読者投稿欄でなるほどと思う意見を見つけた。それは、日本人の立場からのみ物事語り、シリアの情勢について無関心であることの危機感をあげている。無関心により、支えあいの社会構造が脆弱になっている。これは僕にとっても肌感覚でここ数年感じ続けていることだ。

2018年11月3日土曜日

吉祥寺の動物園


ここ最近は秋晴れの快晴が続いて気持ちいい。今日はパパ友二人と吉祥寺の動物園に行ってきた。

パパ友同士で、子どもたちも一緒に出掛けるのはこれが初めてで、こういう付き合いが出来るのっていいなと思った。子どもと二人っきりの休日よりずっと楽だし楽しい。ママ友同士はこれが当たり前だけど、そりゃそうだよな~って思う。

パパ友のうち一人は、今度保育士に転職を予定していて、うちの娘がものすごく打ち解けているのをみて、さすがだなぁって思った。もとからだけど子どもの心を掴むのが上手い。こういうのは才能だな。

体力的には疲れたけど、とても良い休日を過ごすことができた。娘は家に帰ってからも友達の名前を読んでいて、本当に楽しかったんだなぁって思う。

2018年11月2日金曜日

竜王戦第3局

将棋連盟モバイルより
本日開催された竜王戦第3局。130手で広瀬八段の勝ちとなった。これでシリーズは羽生さんの2勝1敗。しかし本局は、羽生さんの独り相撲のような不思議な将棋だった。

解説者も私の激指しも106手☖7五歩まで羽生さんのリードだった。序中番で駒損をしながらも思い切った勝負手で、解説者をうならせる差し回しはさすが羽生さん!と思わせる痺れる内容だった。

このまま勝ち筋に入って、素人の私でも、これで安心してみていられるなと思った局面(☖7五歩)で、まさかと思うような一手。それをきっかけに激指しの評価値も一気に後手に傾いた。結局、逆転を許したまま投了。

僕は羽生さんファンなので、この竜王戦防衛で通算100期を達成してほしいと切に願っている。ただ、今回の敗戦は、佐藤天彦に名人を奪われたシリーズの第2局の大逆転負けと同じような、なんだかとても嫌な雰囲気を感じている。

2018年11月1日木曜日

東電工場萌えの件

2018/11/01 東京新聞
東電が福島第一4号機を#工場萌えでツイートして叩かれた件について。呆れるようなレベルの低さなのだけど、ん、これってAI的な発想なんじゃないのと思った。文脈で考えるのではなく、その時の表れている局面で判断する。そうすれば福島の原発から「工場萌え」が出てきても全くおかしくない。

将棋の棋士がAIの指し手を真似できないのは、AIはそれまでの手順は関係なく、いま盤面に表れている局面から差し手を検討しているからだと言われている。要は感情や文脈を省いてフラットに思考しているということ。

だから、原発の画像を捉えて、工場画像のデータベースと、それと関連付いたキーワード×アクセス数などのビッグデータに投げ込めば、今回のような処理になるんじゃないか。

ちみなにこの「工場萌え」は東電ではなく、広告代理店が作成したとのこと。本当にAIに作らせたとはさすがに思えないが、若手で、事故の時に高校生くらいだった社員だったら、案外こういう発想になっても不自然ではないだろう。あと、別な話だが、ツイート内容まで外注するだなって思った。

2018年10月31日水曜日

渋谷ハロウィン騒動について

2018/10/31 東京新聞
渋谷のハロウィンで軽トラを横転させたり、痴漢で逮捕者がでたりしたニュース。僕はハロウィンには全く関心がないのだけど、娘が興味をもったらどうしようかなと思っている。それはさておき、この騒動で思ったことは、

1.横転させたのがパトカーなら良かった。

どうせ横転させるならパトカーにしよう。軽トラは所有者がかわいそうだ。パトカーなら、その行動に呆れる人だけでなく、勇気があるなと感心する人もいたはず。

2.みんなが自分と同じ常識を共有していると思ってはだめ。

この騒動を起こした若者たちは、いわゆる世間とは別の常識で行動している可能性がある。お祭り騒ぎなんだし、軽トラを横転させればさらに盛り上がるじゃん。それくらいの感覚なのかも知れない。

もちろん、それを批判するのは簡単だけど、それよりもきちんとルールを設けた方が再発防止の効果があると思う。記事では川崎市のハロウィンイベント(事前申し込み制)を例に挙げている。

僕はよく音楽のライブに行くのだけど、最近観たBABYMETALのライブで、観客のマナーの良さに驚いた。それは、禁止されていた写真撮影をみんなちゃんと守り自粛していたこと。普通、どんなライブでも文章やアイコンによる撮影禁止の告知だけでは、誰かが必ずスマホで写真(動画)撮影を始める。

でも、BABYMETALのライブでは、文章やアイコンに加えて、場内アナウンスでも撮影禁止を繰り返し放送していた。ファンの年齢層が高めという要素はあったにせよ、1万人以上が集まるライブで、撮影している人が目につかなかったのはすごいと思った。みんなしっかりとルールを説明されれば、それを遵守するだけのマナーはあることの現れだと感じている。

だから、大勢の人で溢れかえるイベントの際には、ルールを作って参加者に共有させなければいけないと思う。ネットがある前とは比較にならないくらい「常識」の違いは顕著になっているのだから。

2018年10月30日火曜日

自己責任論

2018/10/27 東京新聞
安田さんの自己責任論について、ダルビッシュ投手がいいことを言っている。「ルワンダで起きたことを勉強してみてください。誰も来ないとどういうことになるかということがよく分かります。」その通り。

そもそも安田さんが具体的に誰にどれだけの迷惑をかけたのか。税金無駄遣いのことを指摘するのなら、モリカケをはじめ他にも叩くべきことは沢山ある。というかこの件をきっかけにもっと税金の無駄遣いに敏感になるべきだ。

じゃあ、2015年にISに拉致殺害された非ジャーナリストの湯川さんは自己責任か。一般市民が行くなと言われている地域に行って誘拐される。そして多額の身代金が政府に要求される。自己責任の一面があるかも知れないが、救出するのが国の責任だ。そして何より、人の命がかかっている時に、それは自己責任だと切ってしまう感性を恐ろしく感じる。

斎藤慎太郎新王座誕生

将棋連盟モバイルより
第66期王座戦が終局した。109手で斎藤慎太郎七段が勝ち、初タイトルを手にした。僕は中村王座のファンだったので結果は残念だが、シリーズ全般を通じて押されていた感はあるので仕方のない結果だったんじゃないだろうか。中村七段には、またタイトル戦に戻って来られることを期待したい。


自分の時間を取り戻そう


積読であったちきりんの一冊。ようやく読みました(出版年を見たら2年前だった...)。面白かったし、相変わらず参考になる内容だったのだけど、既読感があって期待していた新鮮さはあまりなかった。

「生産性」を高めることが自分の時間を取り戻すためのキーワードとして、とても分かりやすく、具体的な方法論まで展開していて、すぐにでも役立つことばかりだった。特に、時間を希少資源と認識することは、僕にとっては気付いていながらも分かっていないことなので、その指摘が痛かったし、改善しなきゃいけないなと切に思った。

最初に感じた既読感は、家の本棚をみて勝間さんの著作に関係していることが分かった。勝間さんからはフレームワーク思考と、バックキャスティング志向の重要性を学んだのだけど「生産性」を高めることは、まさにこの2つと関わっている。

一つ、本書を読んでとても考えていることがある。それは「豊かな生活」とはどんな生活かということ。本書では2回「豊かな生活」という言葉が登場している。特に、iPhoneによって生活が豊かになったと、疑いようのないこととして捉えられているのだけど、そのことにもやもや感を感じている。

生活が便利になったのは間違いないと思うのだけど、本当に豊かになったかと言われると、僕は自信を持ってそうだとは言い切れない。恐らく僕個人的な問題なのかも知れないが、どうしても腑に落ちない。いま最も友人と共有して考えたいテーマになってしまった。

王座戦最終局

ひたすらどんぐりを集める娘
10/30日。快晴。雲一つない爽やかな秋空。娘と歩いて保育園に向かう道すがら、風に桂の甘い香りが運ばれてくる。今日は王座戦最終局。中村王座が防衛か、斎藤七段が初タイトルか。実力が拮抗する二人だけあって予想が付かない。

仕事と子育てに追われてこの七か月ほどまったく自分の時間を作れなかった。いまは少しづつゆとりを取り戻していこうと思う。一日に10人もアクセスのないこのブログを更新するのも、ゆとりを取り戻す一つの手段。日常で思ったこと感じたことを記録する。

昨夜は寝室に突然カマドウマが表れて驚いた。今朝起きたらいなくなっていたけど、いったいどこに隠れているのか。今の住居はワンダーランドで、色々な生き物たちと共生している。たまに蛇もでるので驚くけど楽しい。素敵な環境なので、生き物好きな娘に育ってほしい。

さて話は王座戦。中村王座の後手番で戦形は角換わり。思い切って予想をすると、斎藤七段が初タイトルを獲るのではないか。振り駒で先手番を引けたのもそうだけど、最近の将棋での冷静沈着な指し手を見ていると負けが想像できない。前局では中盤に開き直ったかのような王座の剛腕で逆転を許したけど、今回は奪ったリードは冷静に保てるのではないか。終局が楽しみ。

娘のこと


早いもので2歳になりました。月並みながら本当にあっという間でした。元気にすくすくと成長しています。

昨日は近所の公園で遊びました。滑り台がお気に入りなのですが、先に遊んでいる子どもたちがいるため、立ち止まってしまいます。前の子どもが階段を昇ったら、次に行って来たらと声をかけると「じゅんばん!」と言って順番待ちをします。けど、次々に子どもたちがやってくるため、なかなか遊ぶことができません。それでも途中で割って入ることなく「じゅんばん!」といって健気に滑り台の前で待ち続けていました。

結局、子どもたちが滑り台に飽きていなくなるまで約20分。じーっと直立不動のまま滑り台の「順番待ち」をしていました。もちろん私も一緒になって待っていたのですが、辛抱強く待ち続けたなぁと感心してしまいました。ようやく遊べるようになってからは、ニコニコのご機嫌さんで、何往復も滑り続けていました(私も強制的に滑らされました)。

2018年10月28日日曜日

10/28 BABYMETAL@さいたまスーパーアリーナ


BABYMETALのライブは今回で5回目。これまでのBABYMETALを遥かに陵駕する新次元の圧倒的なパフォーマンスだった。一瞬たりとも目が離せない、というか釘付けとなってしまった1時間だった。あまりにも凄すぎて、観ることができて良かったとしか言葉が思いつかない。。
YUIメタルの脱退は本当に残念で、MOAメタルとの共演をもっともっと見たかったのだけど、今日のライブを見てBABYMETALの今後に対する不安は微塵も感じられなかった。SU-メタルは着実に上手くなっているし、オーディエンスにサークル支持する様なんかは神懸って見えた。MOAメタルはカワイイからカッコイイに脱皮を見せながらも、それでもやはり可愛かった。
約1時間の尺で、歌無しオープニングを除くと10曲のみ。当然短く感じられたし、演って欲しい曲はまだまだたくさんあった。ただ逆にこれくらい凝縮させたことで、一分の隙も無い緊張感を生み出すことになったのだと思う。
アイドルにメタルをやらせてみたら。そんな存在自体がギミックでしょと思われかねない場所からスタートして、このレベルに達したことは本当に凄いと思う。客の目が日本より厳しい海外で叩き上げられ、経験を積み重ね、いつの間にか本物に成長した。最早やらせれている感は全くない。唯一無二の存在。



2018年10月27日土曜日

沈黙のパレード



東野さんの新刊で僕的に待望の湯川教授シリーズ。複数の人物による複雑な共犯殺人ということで、だいぶ昔に読んだ「金田一少年の事件簿電脳山荘殺人事件」を思い出した。

終盤まであまりにも予測通りに話が進むので「あぁ、きっと最後にどんでん返しがあるのだろうな」と、読みながら結末が気になってしまったけど、予測を上回る面白さだったので、さすが東野圭吾と改めて感心した。

人情のような割り切れなさをベースに、物語の「複雑さ」をリズムよく分かりやすく展開する。そして切れ味鋭い結末で一気に物語を締めくくる。まさに職人芸。読後の爽快感のようなものもあって東野ミステリーは癖になる。

2018年10月26日金曜日

LUBY SPARKS



LUBY SPARKS@新代田。このライブハウスは久しぶりで、何だか狭くなったように感じた。それとフロア禁煙になっていたのが嬉しい。今日のライブは、LUBY SPARKSという新人で、19年度のCDショップ大賞1次にノミネートされている。

僕は、ヴァクシーンズの前座に抜擢されたことでこのバンドを知って、youtubeでチェックしてみたら、ドリームポップ×シューゲイズなとても好みの音を鳴らしていて、即ハマってしまった(4AD系やラッシュ、コクトーツインズ、アソビセクス、スーパーカーあたりが好きなら間違いない)。

ライブの内容は事前に聴いていたCDの音源に割と忠実で、すごく真面目な印象を受けた。箱の広さに適した音圧が耳に心地よく、音楽に身を任せながらいいバンドだなぁって思い続けていた。最後、ギターの音が出なくなるハプニングがあったが、それも落ち着いて乗り切っていたのも印象的だった。

普段は物販で買い物をすることはないのだけど、想像以上に良かったので、今回はライブが終わってすぐにシングル盤を購入した(アルバムは持っているので)。まだまだ知名度が低く、ワンマンでツアーをするのはもう少し先になりそうだけど、前座ででるこのバンド目当てにまた別のライブを観に行こうと思う。
購入したCD。ジャケが素敵。

2018年10月25日木曜日

二分間の冒険



娘がもう少し大きくなったら、たくさんの物語を紹介したいなと思い、少しづつ読みためていっています。本書は1985年に発表された児童文学で、昭和60年度に宇都宮市の小学生たちに選ばれて賞を受けた作品でもあります。

私はファンタジー小説が大好きなので、とても期待していたのですが、期待以上に面白く、あっという間に本の世界に引き込まれ、最後まで息つく間もなく読み進めてしまいました。物語にドキドキする感覚は、本を読む醍醐味で、年齢に関係なく、いつだって新しい。

本書の解説では、著者の岡田さんの他の作品にも触れていて、どれも面白そうな予感に溢れていた。ちょっと昭和な感じもして、丁寧な文体から温かみが伝わってくる。娘のためと思いながらも、いい物語に出会えて嬉しくなった。

2018年10月24日水曜日

恋する寄生虫


三秋縋の「恋する寄生虫」を読んだ。恋愛ものを読むのはすごく久し振りな気がする。本のカバーから想像できる、どことなく体温の低い小説だったように思う。できれば、タイトルと背景だけのカバーにして欲しかった。
僕は寄生虫に関する興味も関心も全くなかったのだが、本書を読んで、書かれていた寄生虫をネットで見てみて、その姿を不思議でとてもきれいだなと思った。物語の中では、寄生虫の形のイヤリングも登場するのだけど、そういうデザインは素敵だなとも思った。
物語はちょっと突飛なところと、適度に予測を外れる意外性があって、最後まで没頭して読むことができた。一番意外だったのは著者の三秋さんが男性だったこと。醒めた感じのする文章から、ずっと女性だと感じていた。

2018年10月23日火曜日

サウジ記者死亡事件




上:東京新聞 181020 下:東京新聞 181022
連日話題になっているサウジ記者死亡事件。僕的には、ニュースでの取り上げ方が表面的でメディアの力量不足がひどいことになっているなと感じている。
そんな中で、東京新聞に掲載された2つのコラムは読み応えがあり、また共感をもった。上の師岡氏は、中東では、他にも凄惨で疑いのない人道的が起こっていることに対して国際社会が鈍感であることを指摘し、下の木村氏は、カショギ氏の「人物」に焦点をあてて事件の原因の深さについて言及している。
僕は、どちらかというと師岡さんの主張に近いものを感じていて、他にも注目されるべき人道的問題がほったらかしになっている現状をとても危惧している。世界中で起きているその数があまりにも多いから、きっと(僕も)感覚的に麻痺しているだろうなと思う。
報道(言論)の自由の問題にしても、問題が当たり前すぎて、日本社会では「問題」にすらならなくなってきている様な、ちょっとした感覚麻痺状態にあるじゃないかという気がすごくする。それはとても怖いことなのでけど、もっと怖いのは、それが安定に移り変わってきていることなんだと思う。

2018年10月22日月曜日

超越の棋士 羽生善治との対話




羽生さんの対談本。とても興味深く、とても面白かった。羽生さんは色々なところでインタビューに答えているので、何となく既読感はあったものの、それでも最後まで夢中になって読み進めることができた。

本書は、羽生さんとの対談の合間に、トップ棋士がインタビューで語る「羽生さん」も収録されていて、その内容が「羽生さん」の圧倒的な存在感をより肌に迫るような感覚で伝えていたと思う。中でも森内九段が語るパートは、森内さんの人間味が滲み出ていて、森内さん自身の人柄にも打たれる印象的な内容だった。

羽生さん関連本は、羽生さん自身の著作や、今回のような対談本などたくさん出版されている。僕はだいたい読んでいるのだが、どの本にも共通して言えることは、読後に知的好奇心を刺激された後のような高揚感を感じることだ。

それは将棋以外のことにもやたら詳しい羽生さんの知識や洞察力に「すごい」と思うこともあるのだけど、羽生さんを通じて「将棋」の奥深さ、ゲームとしての面白さを自分なりに体験しているのだとも思う。

2018年3月20日火曜日

発達障害は最強の武器である


ADHDは運と理解者に恵まれたら武器になる。自身の体験をもとにその根拠を説明している。説得力のある内容なのだが、要はとことん集中できる好きなことが見つかれば、その道で成功できる。そんな感じだ。そしてADHDの人ほど、その適性があるということ。
だいぶ前に読んだ1万時間の法則に似ていると思った。どんなことでも、その対象にそれだけの時間を費やせばものになる。そこまでのめり込める「好き」が見つかるかは、運と理解者に出会えるかどうか。
この本を読んで僕は作者がひたすら羨ましかった。好きなことしかしてないし、それで大成功している。47歳で、FFにはまって2年間も家に引きこもってプレイし続けて、それをネタに本も書けている。本当にいいなぁと涎がでるくらい羨ましい。

2018年2月28日水曜日

Mogwai@新木場SC



モグワイのライブに行ってきた。これまで何度も機会がありながら行けなかった念願の生モグワイ。多来日のためか客の入りはイマイチだったけど、期待通りの素晴らしいライブだった。

ベース音が身体を突き抜ける。轟音とはこのことかと、ようやく分かった気がします。耳で聴くのではなく身体で感じる音楽。目を閉じて音の洪水に身を任せているのが心地よかった。

来日直前にドラマーが病気のため交代になったから、もしかしたら本来のモグワイではなかったのかも知れない。でもとても満足のいくライブだった。

2018年2月14日水曜日

人間の未来 AIの未来



バレンタインデー。学習教室に来ている中学生に、チョコあげたって聞いたら学校にチョコ持ち込みは禁止されているとのこと。チョコ=食べ物だからダメなのか?

羽生さんと山中さんの対談本。テーマは人間の未来、AIの未来。AIの話となると羽生さんは頻出する。将棋だけでなくAIの第一人者といった感すら漂う。

僕的に面白かったのはAIについてというより、ひらめきや「情報」についての話。特に情報については、情報によって知識がついた分、未知へ挑戦することにブレーキがかかってしまうということは、僕にもすごく自覚がある。

やる前からこれは無理だよな~って諦めというか、失敗を勝手に予知して、選択することを避けてしまう。でも本当はやってみないと分からないし、たとえ上手くいかなくても、それは経験値として成長の糧となる。情報化時代以前は、一軒無謀な挑戦が溢れていて、今より面白い社会だったんではないかという。

最近羽生さんが意識的にリスクを取ること色々なメディアで話している。この本を読んで、そのことの意図をよりより深く感じ取れた気がする。そして僕も情報に決められる前に、意識的に自分で決めること心掛けたいと思った。

2018年2月2日金曜日

僕は沖縄を取り戻したい


宮川徹志「僕は沖縄を取り戻したい」


本書は沖縄返還に尽力した外交官千葉一夫の稀有な人物像と、米国高官たちと対等に渡り合ったタフ・ネゴシエーターとしての仕事振りを、数多くの資料や取材をもとに伝えている。現政権の対応を批判する内容ではなく、沖縄返還の舞台裏を、一人の外交官を主役に据えて描いている。

千葉一夫の沖縄返還に懸ける思いは、戦中に米軍通信傍受の任務に就いたことに発している。そこで知った沖縄戦の惨状が「沖縄を取り戻す」思いへと繋がった。返還交渉の担当時代には、4年弱の期間に15度も沖縄を訪問し、言葉や民謡なども覚えて現地の人々と交流を深めた。

外交という国と国との交渉でありながら、誰よりも沖縄の立場を考え続け、だからこその苦悩や困難も抱えることとなった。結果として、100%沖縄の要望に応える内容の返還とはならなかった。基地問題や特別地位協定は今も大きな課題として続いている。それほど、米国にとっての東アジアの安定は、日本が想像する以上に根深い不安なのだと思う。


2018年2月1日木曜日

保育士の給与は改善すべき

僕の友人が転職して保育士を目指す決意をした。その決断の潔さに憧れと、改めて尊敬の念を抱いた。うちの娘をあずかって貰っている保育園に来てくれた嬉しいなと思い、そこの採用情報を調べて見た。新聞などのニュースで何度も聞いてはいたものの、実際の給与待遇の低さに驚いた。

子どもの命をあずかる仕事に見合った給与だとはとてもじゃないが思えない。経験された方ならわかるはずだが、子育てには体力はもちろん、細やかな気配りも必要とされる。ましてや人の子、それも複数人を同時に世話をする。さらに事務作業も加われば、その職責の重さと大変さは容易に想像がつく。

なのになぜ、全業種平均から見て5万も10万も低い給与水準なのだろうか。おまけに保育士不足による待機児童問題は緊急課題となっている。待遇を改善して、人材を集めなくてはならないのは一目瞭然ではないか。きっと多くの人が同様に考えているはず。

「保育園落ちた日本死ね」のイシューから日が経ち、政府の何となくやっています感が空気を支配してきている。ただ、保育士が足りていようが足りていまいが、子どもの命をあずかる仕事に対し、いまの待遇がおかしいことは変わらない。改善すべきだ。

2018年1月29日月曜日

仮想通貨


東京新聞:2018.0124

いまホットな仮想通貨。仮想通貨少女なんてアイドルも登場してる。それにしてもこの投機熱は、人間の欲望丸出しで本当に醜い。短期間に儲けることを考え、他者の損失は気にしない。だってマネーゲームだから。

僕は、短期的な利益を追求することは、あまり良くないことだと思っている。それは生産活動の前提となる資源、特に自然環境の再生可能速度と根本的に合わないからだ。そして短期的な利益を追求すると、たいていモラルが崩れる。

本来、もっと可能性のあるイシューだけに、過渡期とはいえ、こんな強欲の象徴的存在となってしまって残念だなと思う。

2018年1月27日土曜日

逆さに吊るされた男


田口ランディ「逆さに吊るされた男」

本書は、著者がオウム真理教の林死刑囚と、14年の交流を重ねた中で書かれた小説。個人的で独白的な内容で、人の日記を読んでいるような、後ろめたいけれど止められない、そんな感覚を味わった。

フィクションと言われてもノンフィクションではないかと錯覚してしまう。たぶん、そこには意図的な部分もあるのだと思う。去年の11月に初版がでて、今年の1月にオウム関連事件の公判がすべて終了した。このタイミングの良さも含めて作品に魅了された。

2018年1月25日木曜日

ロブスターの食べ方


東京新聞 2018.0125
ロブスターを生きたまま茹でるのを禁止する法律ができた。日本ではなく、スイスの話。ではどうやって食べるのか。電気ショックで失神させてから茹でるのならOKらしい。理由は、ロブスターは高度な脳組織を持っているので、生きたまま茹でられるのは苦痛を与えるからだそう。恐らく日本人には相当理解しにくい感覚なんじゃないかと思う。
2020年。オリンピックで海外からたくさんの人が来る。日本の食文化にもスポットライトが当たるはずだ。その時、魚の生き作りを見たらたまげるんじゃないかと思う。動物虐待だって思うはず。きっと世界には他にも似たような事例がたくさんあると思う。理解できないことがあるから面白い。それくらい寛容なのがちょうどいい。僕はそう思っている。

2018年1月23日火曜日

ミオヤマザキ


年末に立て続けにミオヤマザキのライブに行ってきた。O-EASTとZEPP。O-EASTのライブは破壊力のあるライブすさまじいだった。それに反してZEPPのライブは喉の調子が悪くて相当苦しそうだった。安定していないところが駆け出し感があっていい。
会場は「ミオラー」と自称するコアなファンがたくさんいた。最後の方は周りからすすり泣きが聞こえてびっくりした。倒れこんで泣いている人もいたし。きっと、私の「側に居てくれる」アーティスとなんだと勝手に思った。
激ポップな曲も書けるし、きれいなバラードも歌える。でもあえて「あなたのアーティスト」である姿勢にこだわるところにSNS時代の「今」を感じる。だから、ポップミュージックとはかけ離れているしロックともなんか違う。この先どうなるか楽しみなアーティストだ。

2018年1月21日日曜日

本の福袋


重松さんの「青い鳥」を読んだ。実はこの本、年始に図書館で借りた本の福袋に入っていたもの。重松さんの本はたくさん読んでいたけど、長編小説がほとんどで、本作のような短編連作ものは初めてだった。本の福袋でなければ恐らく出会わなかったと思う。本の福袋という企画はとても良い。きっと世界が広がる。本作は、あたたかくて優しい涙がこぼれおちる、重松さんらしい一冊だった。


2018年1月20日土曜日

ペイフォワード


2000年日本公開映画「ペイフォワード」。今の時代こそ、もっと見直され、再評価されるべき映画だと思う。
誰か3人の人に親切にする。親切にしてもらった3人はそれぞれ別の3人に親切を返す。それによって社会は良くなる。そんな素敵な発明をした少年の物語。
人はやさしさに触れるとやさしくなれる。17歳の時に日記に書き、何度かこのブログでも紹介している。僕が気付いたことの中で一番好きなことだ。
どうも自分ファーストな人が目立つようになってきているから、人にやさしくでそんないまの世の中を変えたいと思う。

2018年1月19日金曜日

孤独死より自立死


東京新聞 H30.0115

一人暮らしで亡くなられた方でも「孤独死」でない方はきっとたくさんいると思う。だから「自立死」という言葉はとても良いなと思った。この言葉を考えられた方は、兄の死に際し、その生き方からこの言葉を感じ取ったそうだ。

以前、東京新聞のコラムで宮古さんは「孤独死」に代わる言葉を求めていた。僕も考えてみたのだが思い浮かばなかった。この投稿を読んで、目から鱗が落ちる思いだった。

2018年1月18日木曜日

優秀な人材


東京新聞(掲載日不明)

優秀な人材というのは、自分の頭で考え、意見を言い、他人と意見が違っていても恐れない人。

そのまま転記してしまう僕は条件に当てはまらないけど、この内容は本当にそうだなと思う。

2018年1月17日水曜日

米津玄師@武道館


先週、米津玄師の武道館公演に行ってきた。メジャーデビューALが好評で、飛ぶ鳥を落とす勢いの最中のライブということもあり大入り満員。と思いきや何故か当日券もネット販売されていた。
アルバムがかなり良かったのでとても期待していたけど、思ったよりは普通のライブだった。決して悪くはなかったのだけど。
声の魅力を活かした最小限の演出で特徴で、MCも含めて本当に無駄の少ないライブだった。声量に迫力があり、アルバムで聴くよりはるかに耳にそして胸に響くものがあったと思う。
最初9割くらいは女性客かと思ったけど、意外に男性が多かった。見るからにモテ要素が多くて、あまり男受けしそうなキャラだと思わない。だからその辺は謎。また観たいかと言われたら、アルバム次第。今回も新譜中心のセットリストだったのは◎。