2018年10月24日水曜日

恋する寄生虫


三秋縋の「恋する寄生虫」を読んだ。恋愛ものを読むのはすごく久し振りな気がする。本のカバーから想像できる、どことなく体温の低い小説だったように思う。できれば、タイトルと背景だけのカバーにして欲しかった。
僕は寄生虫に関する興味も関心も全くなかったのだが、本書を読んで、書かれていた寄生虫をネットで見てみて、その姿を不思議でとてもきれいだなと思った。物語の中では、寄生虫の形のイヤリングも登場するのだけど、そういうデザインは素敵だなとも思った。
物語はちょっと突飛なところと、適度に予測を外れる意外性があって、最後まで没頭して読むことができた。一番意外だったのは著者の三秋さんが男性だったこと。醒めた感じのする文章から、ずっと女性だと感じていた。

2018年10月23日火曜日

サウジ記者死亡事件




上:東京新聞 181020 下:東京新聞 181022
連日話題になっているサウジ記者死亡事件。僕的には、ニュースでの取り上げ方が表面的でメディアの力量不足がひどいことになっているなと感じている。
そんな中で、東京新聞に掲載された2つのコラムは読み応えがあり、また共感をもった。上の師岡氏は、中東では、他にも凄惨で疑いのない人道的が起こっていることに対して国際社会が鈍感であることを指摘し、下の木村氏は、カショギ氏の「人物」に焦点をあてて事件の原因の深さについて言及している。
僕は、どちらかというと師岡さんの主張に近いものを感じていて、他にも注目されるべき人道的問題がほったらかしになっている現状をとても危惧している。世界中で起きているその数があまりにも多いから、きっと(僕も)感覚的に麻痺しているだろうなと思う。
報道(言論)の自由の問題にしても、問題が当たり前すぎて、日本社会では「問題」にすらならなくなってきている様な、ちょっとした感覚麻痺状態にあるじゃないかという気がすごくする。それはとても怖いことなのでけど、もっと怖いのは、それが安定に移り変わってきていることなんだと思う。

2018年10月22日月曜日

超越の棋士 羽生善治との対話




羽生さんの対談本。とても興味深く、とても面白かった。羽生さんは色々なところでインタビューに答えているので、何となく既読感はあったものの、それでも最後まで夢中になって読み進めることができた。

本書は、羽生さんとの対談の合間に、トップ棋士がインタビューで語る「羽生さん」も収録されていて、その内容が「羽生さん」の圧倒的な存在感をより肌に迫るような感覚で伝えていたと思う。中でも森内九段が語るパートは、森内さんの人間味が滲み出ていて、森内さん自身の人柄にも打たれる印象的な内容だった。

羽生さん関連本は、羽生さん自身の著作や、今回のような対談本などたくさん出版されている。僕はだいたい読んでいるのだが、どの本にも共通して言えることは、読後に知的好奇心を刺激された後のような高揚感を感じることだ。

それは将棋以外のことにもやたら詳しい羽生さんの知識や洞察力に「すごい」と思うこともあるのだけど、羽生さんを通じて「将棋」の奥深さ、ゲームとしての面白さを自分なりに体験しているのだとも思う。

2018年3月20日火曜日

発達障害は最強の武器である


ADHDは運と理解者に恵まれたら武器になる。自身の体験をもとにその根拠を説明している。説得力のある内容なのだが、要はとことん集中できる好きなことが見つかれば、その道で成功できる。そんな感じだ。そしてADHDの人ほど、その適性があるということ。
だいぶ前に読んだ1万時間の法則に似ていると思った。どんなことでも、その対象にそれだけの時間を費やせばものになる。そこまでのめり込める「好き」が見つかるかは、運と理解者に出会えるかどうか。
この本を読んで僕は作者がひたすら羨ましかった。好きなことしかしてないし、それで大成功している。47歳で、FFにはまって2年間も家に引きこもってプレイし続けて、それをネタに本も書けている。本当にいいなぁと涎がでるくらい羨ましい。

2018年2月28日水曜日

Mogwai@新木場SC



モグワイのライブに行ってきた。これまで何度も機会がありながら行けなかった念願の生モグワイ。多来日のためか客の入りはイマイチだったけど、期待通りの素晴らしいライブだった。

ベース音が身体を突き抜ける。轟音とはこのことかと、ようやく分かった気がします。耳で聴くのではなく身体で感じる音楽。目を閉じて音の洪水に身を任せているのが心地よかった。

来日直前にドラマーが病気のため交代になったから、もしかしたら本来のモグワイではなかったのかも知れない。でもとても満足のいくライブだった。

2018年2月14日水曜日

人間の未来 AIの未来



バレンタインデー。学習教室に来ている中学生に、チョコあげたって聞いたら学校にチョコ持ち込みは禁止されているとのこと。チョコ=食べ物だからダメなのか?

羽生さんと山中さんの対談本。テーマは人間の未来、AIの未来。AIの話となると羽生さんは頻出する。将棋だけでなくAIの第一人者といった感すら漂う。

僕的に面白かったのはAIについてというより、ひらめきや「情報」についての話。特に情報については、情報によって知識がついた分、未知へ挑戦することにブレーキがかかってしまうということは、僕にもすごく自覚がある。

やる前からこれは無理だよな~って諦めというか、失敗を勝手に予知して、選択することを避けてしまう。でも本当はやってみないと分からないし、たとえ上手くいかなくても、それは経験値として成長の糧となる。情報化時代以前は、一軒無謀な挑戦が溢れていて、今より面白い社会だったんではないかという。

最近羽生さんが意識的にリスクを取ること色々なメディアで話している。この本を読んで、そのことの意図をよりより深く感じ取れた気がする。そして僕も情報に決められる前に、意識的に自分で決めること心掛けたいと思った。

2018年2月2日金曜日

僕は沖縄を取り戻したい


宮川徹志「僕は沖縄を取り戻したい」


本書は沖縄返還に尽力した外交官千葉一夫の稀有な人物像と、米国高官たちと対等に渡り合ったタフ・ネゴシエーターとしての仕事振りを、数多くの資料や取材をもとに伝えている。現政権の対応を批判する内容ではなく、沖縄返還の舞台裏を、一人の外交官を主役に据えて描いている。

千葉一夫の沖縄返還に懸ける思いは、戦中に米軍通信傍受の任務に就いたことに発している。そこで知った沖縄戦の惨状が「沖縄を取り戻す」思いへと繋がった。返還交渉の担当時代には、4年弱の期間に15度も沖縄を訪問し、言葉や民謡なども覚えて現地の人々と交流を深めた。

外交という国と国との交渉でありながら、誰よりも沖縄の立場を考え続け、だからこその苦悩や困難も抱えることとなった。結果として、100%沖縄の要望に応える内容の返還とはならなかった。基地問題や特別地位協定は今も大きな課題として続いている。それほど、米国にとっての東アジアの安定は、日本が想像する以上に根深い不安なのだと思う。