2019年10月18日金曜日

劇場版 そして、生きる


劇場版 そして、生きる、を観てきました。主演の有村さん、坂口さんをはじめ、役者さんたちの好演が光るとても素晴らしい映画だったと思います。僕は、WOWOWで放映された連ドラ版はみていないのですが、この作品のためだけに、一時加入してみようかなと思ったほどです(結局しませんが、たぶん)。

どことなく「北の国から」を見終わったときと同じような感動がありました。それはたぶん、どちらも作品の内容に時間軸が大きな意味合いを持っていて、人の成長と親子関係の積み重なりなどが、視聴者の体感に訴えるものがあるからなのかと思います。

特に本作は、東日本大震災から今日(2019年春)までの、同時代に青年期を過ごした(僕のような)人たちにとっては、瞬間とも永遠とも感じられる特別な時間に焦点を当てたので、より濃密な実感と共感をもたらすことに繋がったような気がします。そして、そのことが普通のロマンス作品とは一線を画す傑作となったのではと思います。

余談ですが、有村架純さんも坂口健太郎さんも本当に素晴らしい俳優さんですね。有村さんは「ビリギャル」、坂口さんは「光のお父さん」から注目し始めましたが、久し振りに「人」で映画を観たくなる俳優さんに出会えました。

2019年10月17日木曜日

権力と新聞の大問題


先日、映画「すべての権力は嘘をつく」を観て、上映後の望月さんのトークショーを聞き、それ以来、彼女の著作を「新聞記者」「しゃべりつくそう私たちの新フェミニズム」「同調圧力」と続けて読んだ。それぞれ内容が重なる部分があるが、興味深い内容でジャーナリズムについて考えさせられると同時に、日本のジャーナリズムの危機的状況に頭を抱えてしまう。

一番印象に残ったのは、日本の権力による圧力は、中露米のそれと比べるとぬるま湯程度のものであるという指摘。これは、共著者のニューヨークタイムズ記者マーティン・ファクラー氏が語っている。それなのに、日本ではそのぬるま湯程度の圧力に屈してしまう。それが一番危機的な状況ではないかと思ってしまう。

日本は企業社会で、ジャーナリストといえでも企業に所属している限りサラリーマンである。そうすると、会社や上司の意向に逆らってまで取材をすることは、進退にかかわることで、養うものがいる状況になるとどうしようもなくなってしまう。権力はそのことを熟知しているから、会社のトップに甘い汁を吸わせて権力に取り入れ、骨抜きにしてしまう。とてもシンプルで狙いが確実な構造がここにある。

一方で、ITを駆使し、直接市民をスポンサーとして経営を始める、真にインディペンデントなメディアの萌芽があることを紹介して、そのことに期待もしている。確かにそういったメディアは必要だ。またそういったメディアが育っていくことと、民主主義が育っていくことは相互補完的な関係になるだろうとも思う。

2019年10月16日水曜日

書店主フィクリーのものがたり


今日の一冊。紙の本が好きな、そして少し古風なものに愛着を感じる人は、この本はきっと気に入るんじゃないかと思う。大泣きするほど感動はしないけれど、読んだその日一日が、穏やかで、暖かい気持ちになれる木洩れ日のような一冊です。

小さな島で本屋を営む中年男性フィクリーは、数年前に妻を亡くし、それ以来心を閉ざし偏屈気味。ある日、本屋に置き去りにされた幼女マヤを受け入れることで、少しずつ心を開いていく。と、物語の筋はとてもありがち。

でも舞台が本屋だから、本に対するこだわりや、本にまつわる小話が文中にちりばめられ、それが本好きの心をくすぐる。そして、本という共通の趣味を通じて、出会い、わかり合い、繋がり合う、そういった人と人の営みが優しく描かれています。

テクノロジーが発展する現代社会に対し、それを肯定的に受け止めようとすればするほど、逆に疎外感を感じてしまう。そんな矛盾のようなわだかまりを感じてしまう僕のような人間には、2010年代以降(本書は2014年発表)に、本書のような作品がベストセラーになるのはとても救われる思いがする。

2019年10月14日月曜日

空の青さを知る人よ


映画「空の青さを知る人よ」を観てきた。想像していたよりも地味で内向きな内容だったけど、登場人物たちの気持ちの揺れを丁寧に描いたよい映画だったと思う。心の癒しと成長。「あの花」「心叫け」とも共通するテーマ。どれも舞台は秩父なので、これはきっと秩父3部作。

今作のハイライトはあいみょんが歌うタイトル曲。その曲がかかるシーンはハチャメチャで型破りで突き抜け方が圧倒的だった。悲しくも嬉しくもないのに、ただ真っすぐな気持ちであることに涙がこぼれる。たぶん自分が10代の頃には感じることのできなかった感性なんだと思う。

自分の「今」について肯定も否定もない。まだやれる気もするし、このまま(でいいの)かも知れないとも思う。けど、身近には未来しかない主人公がいて、どうしようもなく突き動かされる気持ちになる。そんな自分のような大人に向けた一本のような気もした。それと全くの余談だけど、観客の年齢層がやたら高かった(公開2日目)。

2019年10月13日日曜日

トルコ軍のクルド人攻撃について

東京新聞 2019.10.13

最近気になっているニュース。トルコ軍によるシリア北東部のクルド人居住区の攻撃。アメリカは軍を撤退させ、事実上、攻撃を容認する姿勢をとった。IS掃討作戦の時は、クルド人武装組織は米軍に協力したというから、今回の件は米軍に切られた感が強いのではないか。なんだかアルカイダが生まれた経緯と似た道を辿りそうで怖い。

2019年10月11日金曜日

おしえて!ドクター・ルース



おしえて!ドクター・ルースを観てきました。ポジティブに生きること、しっかりと勉強(努力)をすること。苦境の中から這い出し、道を切り開いていくために、この二つのことは本当に大切なことだと、改めて気付かされる内容の映画でした。
今年観た「RBG 最強の85歳」のギンズバーグさんもそうだけど、女性の社会進出があまり認められていなかった時代に、知性と行動で社会の価値観やあり方そのものを変えてきたことは、どれだけ称賛されても足らないくらいのすごい実績だと思う。
ロールモデルとして捉えるには時代や次元が違い過ぎてしっくりこないのだけれど、僕的にはアイドルやアスリートよりも、身近に感じられて夢や希望を与えてくれる。特に、子どもを持って、子どもが育つまでは、自分の時間や収入を子どものために充てる人生になっても、それはやりたいことの妨げにはならないのだと教えてくれる。

2019年10月10日木曜日

存在のない子供たち



映画「存在のない子供たち」を観てきました。下記のいくつもの深刻な社会問題が重層的に描かれ、観ていてとても滅入ってしまいましたが、それでも観て良かったなと感じる映画でした。
親から子へ連鎖する貧困(貧困に関連する多産)
身分証明書がなく受けられない公的支援
移民問題(移民者の子どもの養育)
人身売買
児童婚
子ども人権
など。
映画として、特筆すべきだと思ったのは、主人公ゼイン(推定12~13歳)の「子ども」の視点で社会を捉えているところです。その分、やるせなさというか、自分の力ではどうしようもできない無力さがものすごく響いてきました。
ドキュメンタリーっぽさはあるものの、フィクションなので、物語もあるし、わずかばかりのカタルシスでもって締めくくられるエンディングも用意されています。でも、僕的にはどうしても希望は感じられない映画でした。