2019年11月10日日曜日

エイス・グレード


映画「エイス・グレード」を観てきた。米国のエイス・グレードとは日本の中学2年にあたる年齢のこと。そして日本と違うのは、この次は中3ではなく、日本でいうところの高校に入学することになる。つまり、卒業と進学を控えた微妙な思春期を迎えた女子生徒のお話。米国で口コミを通じてヒットした作品で、この手の作品で興行収入が1400万ドルを超えたらしいからすごい。

いまはスマホでSNSを通じてやり取りするのがコミュニケーションのインフラとなっているけど、抱えている悩みは、スマホがなかった時代と比べて基本的に変わっていない。いわゆる「本当の自分」がいて、いまの自分はそうじゃないから、だから苦しくもあり前向きにもなれる。古今東西、同じような思春期を体験した人はたくさんいる。当然すぎる感想だけど、その共感覚が本作が大ヒットで受け入れられた理由なんだと思う。

ちなみに主人公は心優しいパパと二人暮らし。映画のハイライトはそのパパが、娘のすべてを肯定して受け止めるシーン。ありのままのあなたでいい。そのすべてが愛おしくて、世界で一番大切な存在なんだと真心で抱きしめる。子育てにおいて一番大切なことが凝縮されている。僕も娘が同じような悩みを抱えたときに、そんな風に向き合いたいな思った。ま、それ以前に悩みを話してくれるような存在にならないといけないけどね…。

2019年11月9日土曜日

SCANDAL@豊洲PIT


今日のライブはSCANDAL@豊洲PIT(対バンで相手はキュウソネコカミ)。夏フェスでSCANDALを観て、お勧めしてくれた友人3人で行ってきた。初めてライブで観るアーティストで、BEST盤で予習したくらいしか知らなかったけど、観客との一体感が素晴らしく、ポジティブなエネルギーに満ちたライブだった。

CDで聴くよりもロックアクトらしい音圧と、それに対しミスマッチと言えるくらいキュートな佇まいが魅力的で、ガールズロックバンドの王道を見せつけれたライブだった。特に、ギターのMAMIさんが、演奏もビジュアルも可愛いのとカッコいいのが最高レベルでミックスされていて、それを観れただけでも元が取れたように思う。

対バンツアーだったので、演奏時間はアンコール無しの約60分。対バン相手のキュウソネコカミへの感謝を伝えるMCは好感度が高く、話を聞いていてちょっと温かい気持ちになった。一番印象に残ったのはリリースされたばかりの新曲「最終兵器、君」。僕の好きなバンド「スレイ・ベルズ」のような攻撃的なノイズポップがとてもカッコいい。

2019年11月7日木曜日

主戦場、UPLINKで再上映

東京新聞 2019.11.05

川崎市のある映画祭で、一時上映中止とされていた映画「主戦場」が最終日に無事公開された。僕もこの映画を別の劇場で観たが、とても考えさせられる内容で、ぜひ多くの人に観てもらいたいと思っていた作品だ。

内容は「従軍慰安婦問題」について、それぞれ問題が「あった」派と「なかった」派の論客の主張を織り交ぜながら、この問題について当事者意識を促すものとなっている。「なかった」派から上映差し止め訴訟を起こされているように、基本的には「あった」派の議論に理があるように話は進んでいく。

それしても、こういった作品を上映中止にすることは、表現の自由が問題視されている最近の世論を考えると、中止賛成側の狙いとは逆に注目が集まってしまうのではないかと思う。だってドキュメンタリー映画なんで大抵は世間に知られないまま終わってしまうのだから。

今回の川崎の上映も定員を大幅に超えるの鑑賞希望の申し込みがあったようだ。だから、どこかでまた上映されるだろうなと思っていたら僕がよく行く吉祥寺のUPLINKで明日8日から再上映されることになった。期間は短いのだけど、見逃した人はぜひ足を運んでみてください。

2019年11月5日火曜日

子育て抱え込まないで

東京新聞 2019.11.05

今日の東京新聞。今年6月に虐待防止法が改正され「しつけ」の名の下での体罰が禁止された。子育てをしていると、疲れやストレスが溜まったときに、声を荒げてしまったり、つい手が出てしまったり、「これって虐待⁉」と自分自身を疑って怖くなってしまう瞬間がある。多くの人に共通する感覚なのではないだろうか。

僕もこれまでさすがに手を挙げたことはないが、疲れている時に駄々をこねられて大声でしかってしまったことは何度かある。そのたびに、自己嫌悪になってあとで半分自己満足のために子どもに謝っている。

そういうことを未然に防ぐために、ここ数ヶ月前から意識的にストレス解消をすることにしている。といっても、買い物をしたり、大音量(ヘッドホン)で音楽を聴きながら夜自転車で外を走ったりしているくらいだが。でもこれは結構効果があり、終わった後にすっきりした気持ちになり、子どもの嫌々なども受け流せるようになる。

やはりストレスを溜めるのはよくないと思い知る。特に、身近に相談できる人がいなかったりすると、どうしようもなくなってしまって、自分をコントロールすることが難しくなる。何かストレスを発散できる方法を見つけて意識的に行うのをお勧めしたい。

ちなみに買い物は、ブックオフやディスクユニオンなどで300円以下のCDを買うことにしている。これでとあまりお金もかからずに、ひと昔前の名盤などを見つけて聴くことができてお得感がある。音楽が好きな人で身近に中古店があるならぜひ試してみてほしい。amazonでもいいけど、現金で買い物をするほうがなぜかストレス発散になる。

2019年11月3日日曜日

英語民間試験導入について

東京新聞 2019.10.30

大学入試の英語民間試験導入は、荻生田大臣の「身の丈」発言に批判が集まり今回は見送られることになった。どう考えても平等性が担保されないばかりか「格差」拡大に繋がりそうな施策なので、熟慮を要する当然の判断だと思う。

そして、今回の件をきっかけに7人に一人が「貧困」といわれる子どもの貧困問題や、拡大する経済格差についても、もっと深刻な問題として捉えて社会的に意識を喚起する必要があるのではないかと思う。

先日読んだ「東京貧困女子」もその前に読んだ「子どもに貧困を押しつける国・日本」も、拡大する経済格差は現実の問題であり、そしてそれは政府の(意図的な)施策によって社会構造化されてしまっていることを指摘している。

私は以前、経済的に困難な家庭の中学生を対象とする夜間無料学習教室の運営に携わっていたが、そこでも実際に経済的な理由から民間の受験模試を受けられない生徒が複数名いた。さらに、ある検定試験に今回受からなかったら、親から次はあきらめろと言われている生徒もいた。

いくら生徒本人にやる気があっても、それがそれほど高くないと思われるお金の問題で挫かれてしまうのは、もはや社会の底に穴が開いた状態なんだと思う。落ちたら這い上がれない。それが現実。

若者や真面目に働く人たちを犠牲にして成り立っているようなこんな酷い社会でも、そのことによって利益を得ている層が、実際の権力を手中にしている限りは本当に望みがない。選挙という手段が効果を生むと考えるには、市民の政治リテラシーが遠く追いついていない気がしてならない。書いていて滅入ることばかりで自分でもうんざりする。

2019年11月2日土曜日

JOKER

映画「JOKER」を観てきた。映画としては予想以下でも以上でもない作品だったけど、この希望のかけらもない作品が「今」の時代に高評価で受け入れられていることについて考えさせられる内容だった。1. 新自由主義社会の闇市場原理が行きつくところまで行き、効率至上主義のもとで福祉が切り捨てられ、経済的格差が固定化した現代社会を象徴するノワール・ヒーロー。現代社会がそのまま舞台となったかのような世界観なので、主人公が悪に染まっていく心理状態が、視聴者に否定よりも共感をもって受け入れられたのではないかと思う。そのこと自体が、現代社会の破綻を示している気がする。2. 「デモ」が起こりうる社会とそうでない日本本作品の終盤、貧困層の人々のデモが過激化し、派手に暴動を繰り広げられるシーンが描かれていた。最近観た韓国映画「1987 ある闘いの真実」(実話ベース作品)でも、独裁政権打倒を目指す市民のデモが実際の映像をもとにリアルに描かれていた。日本では、このように市民と権力側が衝突をするデモはもうほとんど起こりえない。でも、世界に目を向けると、最近では香港もそうだし、普通に起こりうる。このことは「民主主義」に対する意識の差なのではないかと思う。映画を観ながらそんなことを考えた。あと劇中の音楽が効果的で、人間が心理的に「切れ」そうで切れない絶妙な情感をとてもよく表現していたように思う。トレント・レズナーがかかわった映画「ソーシャル・ネットワーク」以来、深く印象に残った。

2019年11月1日金曜日

東京貧困女子


東京貧困女子を読んだ。読み進めるのが苦しくて、何度も中断しながら読み終えた。これまで読んだ「貧困問題」に関する書籍のなかで、現実のどうしようもなさが一番伝わってくる内容だった。貧困に苦しむ東京で生きる女性たちの、過酷な現実が、彼女たちの自己責任というよりは、むしろ男性優位の社会構造や、現状を改悪する政府の(意図的な)政策によってもたらされていることに、憤り、やるせなさ、無力感、絶望感など、およそあらゆるネガティブな感情を抱いた。

ごく普通の女子大生が、学費や生活費のために当たり前に体を売る社会。真面目に働いても生活保護水準並みしか稼げず、生活が成り立たないシングルマザー。体調不良や介護離職などの理由で一度退職すると最低賃金でしか復職することのできない雇用環境。低賃金で徹底的に使い込み、精神不調を来したら切り捨てる介護業界。これが日本なのかと目を覆いたくなる数々の現実。

どう考えても社会がおかしな方向に向かっているのに、全然歯止めがかかる様子がない。もう日本社会は底が抜けてしまって、そのことにきっと多くの人が気付きながら、自己防衛でいっぱいいっぱいになっているのだと思う。明日は我が身。とても周りに気を配る余裕なんかない。それが現状なんじゃないだろうか。本当に希望のかけらも見えない。でも知らないでいるよりは知った方がよい現実だと思う。多くの人に読んでもらいたい一冊です。