2019年11月26日火曜日

香港の民主主義

東京新聞 2019.11.26

デモの行方が気になっている香港で、昨日選挙が行われた。その結果、民主派が親中派を圧倒的な差をつけて勝利した。他国のことながら、僕はこの激動の香港情勢を羨ましく思う。民主主義を自分たちの手で絶対に掴み取る。その気迫のような熱が伝わってきて、突き動かされるような思いになる。

大学時代に、日本は上からの民主主義だから所詮は官製なんだよ、みたいな議論をした覚えがある。いまの日本の状況はまさにその成れの果てで、完全に権力に飼いならされてしまっているように思えてならない。暴徒化するデモは一概に肯定はできないものの、それ以外に手段は残されていない状況に向かいつつあるのではないかと心配する。

2019年11月18日月曜日

映画「i 新聞記者ドキュメント」


映画「i 新聞記者ドキュメント」を観た。東京新聞記者、望月さんの著書「新聞記者」のドキュメンタリー映画版といった内容で、望月さんの取材をカメラで撮影した記録映画をみている感じだった。

映画版「新聞記者」は、松坂さんら役者陣の迫真の演技もあって、エンタメ作品としても一級の仕上がりだと思った。それと比べるのが正しいか分からないが、本作は「望月さん」ってこんな感じの記者なんだなぁというのを観ていたような気がする。

本作を観るまでもなく、現政権の「批判的なメディア」に対する対応は分かっていたことだし、その点で何か新しい発見があったわけではなかった。だから、少し肩透かしを食ってしまった。ただ、そのような問題にあまり関心のない人にとっては、観るべき価値のある作品だと思う。

2019年11月17日日曜日

上原ひろみ@サントリーホール


上原ひろみ、10年ぶりのサントリーホールでのソロライブ。新譜「Spectrum」の魅力が詰まった素晴らしいライブだった。と言っても、これまで10回くらい彼女のライブを観ているが、素晴らしくなかったことは一度もないのだけれど。

今回は、特にスローテンポの曲の時に、色々なことを考えた。娘のこと、これからの生活のこと、これまでの自分のこと、本当にたくさんのことが、メロディーとともに頭の中をよぎり、そして流れていった。

娘が元気にすくすくと育ってほしい、娘の生きる世界にたくさんの幸せがあるといい、自分自身がもっと強い人間になれたらいい、もっと優しくなれたらいい、10年後に娘はどんな子になっているかな、毎日保育園楽しんでいるといいな、などなど。娘のことを想うと愛おしくて涙が出てくる。

スタンディングオベーションでライブは終焉し、アンコールに移り、そして閉幕した。一番最後は、なぜか娘が保育園のバギーに乗っているイメージが浮かんでおかしかった。19時19分。一番早く会場をでて家に帰った。娘はまだ起きていて、添い寝してあげることができてよかった。

2019年11月16日土曜日

ジブリ美術館の池に落ちる


毎月恒例となっているジブリ美術館。今日は娘が屋上庭園の池に落ちるハプニングがあった。池の周りのレンガの上をアスレチック遊具かのように遊ぶ娘。いつか落ちるだろうな~と思っていたら案の定落ちた。

高さは1mほど、幸い頭を石にぶつけることなく、ずぶ濡れになっただけだったが、あまりのことに驚いて、当然のように泣きじゃくる娘。僕ももちろん娘を救出しに池に入り、両足が濡れてしまったが、なんだか可笑しくなってしまった。

ジブリ美術館の対応は素晴らしく、すぐにスタッフが駆けつけて娘をあやし、そしてタオル、着替えまで用意してくれた。その手際の良さに、ちゃんと訓練を受けているんだろうなぁと感心した。人見知りする娘も、最後はちゃんとタッチしてさよならできたし、本当にすごい。

娘の方はこれに懲りたかと思いきや、夜、寝る前に布団にダイブを繰り返して遊んでいた。ひたすらやんちゃで、将来どんな子になるのか楽しみだけど、親としてはもう少し落ち着いてくれたら、疲れずに済んで有難いなと思っています。

2019年11月14日木曜日

タレンタイム~優しい歌~


故ヤスミン・アフマド監督の最高傑作と言われるタレンタイムを観てきた。本作はマレーシアで2009年に公開された作品。僕はヤスミン監督の作品も、マレーシア映画を観るのも(たぶん)初めてだったけど、完全に一目惚れしてしまった。

とある学校で開催される「タレンタイム」というマレーシア版「スター誕生」のような音楽コンペティションに参加する若者たちと、その家族の絆を描いたヒューマン・ドラマ。冒頭に流れるドビュッシーの「月の光」が美しく、そして優しく、象徴的にこの映画を伴奏する。

主人公の一人が劇中で歌う「ANGEL」は、一度聴いたら恋に落ちずにいられない名曲。好きな人のことを想う気持ちを、夜中に秘かに日記に記すような、しっとりとした泣きのバラード。僕なんかが言うとなんだが、まるで胸が締め付けられるような焦がれる気持ちになる。

母への想い、恋人への想い、きょうだいへの想い、親友への想い、本作では本当にさまざまカタチの、大切な人への想いが、飾らずに真摯に描かれている。そういう「想い」は、早すぎる日常に忘れがちで、気付いた時には遅すぎたりしがち。だからこそ、この作品に出会えてよかったと思う。


2019年11月13日水曜日

イートイン脱税について

東京新聞 2019.11.07

食品の持ち帰りは8%、店内では10%。この消費税制度は本当に改めた方がよい。いわゆる「イートイン脱税」とは、8%の税率で持ち帰りにしながら、店内でそれを食べるというもの。当然ながら、真面目に10%払って店内で食べている人にとって不公平だ。

僕がよく行くパン屋さんでも当たり前のようにこの「イートイン脱税」が行われている。定員さんも「お持ち帰りですか?」と聞くからよくない。それよりも「店内でお食事ですか?」と聞いた方が「イートイン脱税」は回避できると思う。

なにより、こうやって正直者がバカを見る世の中がいたるところで日常化していくことで、社会は確実に劣化していく。食品は一律8%、または10%に統一すべきだ。本当は消費税よりも他に手を付けるべきところもあるのではないだろうか。どう考えてもややこしくてよくない制度なんだから、早めに見直したほうがいい。

2019年11月11日月曜日

真山仁「トリガー」


ハゲタカの真山仁さんの新刊「トリガー」を読んだ。今回のテーマは民間軍事会社。これまでの真山さんの小説の中ではもっとも血のにおいのする作品だった。相変わらずテンポよく飽きさせない構成にサスペンス要素が絡まって、一機読了間違いなしの面白い仕上がりになっている。

主人公は、引退した元内調トップの冴木。彼がまた「鷲津」っぽく、新たなノワール・ヒーローの誕生か?と思わせる。ただ、彼以外のキャラがもう一つ印象に残らなかったのがちと残念。彼の養女、ミステリアスなクール・ビューティー怜は続編がでれば主人公クラスに大きく化けるとは思うのだが。

東京五輪が舞台となっていることもあって、現実の世界とリンクしたかのような社会問題が浮上してくるのはもはや真山さんの専売特許。事実は小説より奇なり。実際はもっとおどろおどろしいのかと考えると、それはそれで怖いなと竦んでしまうような内容でもあった。社会派小説が好きな人には外さない一冊。

追伸。そもそも傭兵って日本ではあまり馴染みがないが、海外では一般的なのかな?そうだとすると、そのうち日本人でも傭兵を職業に希望する人が出てくるんじゃないかと思う。どうやったら傭兵になれるのか分からないけど、日本人傭兵は少ないだろうから、日本語(と英語)を話せる傭兵は重宝されるかも知れない。