2011年1月13日木曜日

『結果を出し続けるために』『羽生善治の思考』




同時期に出版された羽生さんの本を二冊読みました。出版時期が被っていただけに重複する箇所が多かった。それでも二冊とも最後のあとがき(一冊はあとがきなし)まで抜群に面白い内容だった。

羽生さんの言葉は含蓄があって、その味をじっくりと咀嚼しながら読み進めることができる。読みながら思考が活発に働き始める。その感覚が心地よい読書体験になる。

毎回、羽生さんの本を読んでいて思うのだが、羽生さんは将棋以外のことに対するアンテナが幅広く、そして関心を持った事柄に対する洞察が深く、鋭くて驚かされる。超一流の道は全てに…ということなんだろう。

印象に残ったところ。

「私は常々、「美しい棋譜を残したい」と言ってきた。」「価値基準は決して絶対的なものではないけれど、美しさを求めることが大切。」(『羽生善治の思考』本文より)

「「ツイていない人の逆に張れ」という言葉もあります。しかし、これも一つの方法論なのでしょうが、私は人道的にどうかということで、美意識の問題として絶対にやりません。」(『結果を出し続けるために』本文より)

将棋や生き方に対する美意識を捉えた羽生さんの言葉。ほぼ全頁にラインを引くくらいためになる本だったけど、この「美意識」が一番印象に残った。私が、将棋の世界をそれほど知らなくても、将棋や棋士に惹かれてしまう理由はここにあるのだと思う。

読書とは、何を感じ、どういう言葉を自分のなかに残すのか、ということだと考えている。そういう意味で羽生さんの本を読む読書体験はとても実りある「読書」となる。

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