
2022年7月17日日曜日
杜人、環境再生医 矢野智徳の挑戦

2022年7月11日月曜日
夢見る小学校

2022年6月29日水曜日
ベイビー・ブローカー

ベイビー・ブローカーを見てきた。前評判通り、とても良い映画だった。ソン・ガンホが出る映画に外れはない。もう20年くらい前の「シュリ」の頃から見た目もそんなに変わらないし、すごい映画人だと思う。
僕自身が二児の父親ということもあるのだろうけど、家族のカタチを考えさせる映画を見ると毎回号泣してしまう。子育ての大変さもよく分かるし、子どもと一緒に過ごせる時間の幸福さもよく分かる。
この世に生まれてきたことを全肯定される、最終版にとてもカタルシスな場面があるのだけど、それは生きることは苦しいということの裏返しであるような気がして、すごく胸が締め付けられる気持ちになった。苦しさも含めて、それでいいんだよ、生きてくれてありがとう、と言われているような。
劇中の音楽も美しく、心が洗われた。静かな感動があり、そして考えることで心が豊かになる。本当に素晴らしい映画だったと思う。
2022年6月27日月曜日
教育と愛国

2022年6月24日金曜日
ハケンアニメ

久し振りの映画レビュー。作品はハケンアニメ。そこそこ原作に忠実に、適度にメリハリを付けながら最後までテンポ良く駆け抜けた、見る者を飽きさせない作品だった。特に、アニメシーンの「アニメ感」が素晴らしく、原作に良い意味で補い、新たな魅力を付加したように思う。
僕が本作で感じた一番のテーマは「一生懸命働くことの素晴らしさ」だったと思う。どんなに大変な仕事でも、誠意を尽くして一生懸命に取り組めば、自分自身を成長させることができる。そしてその仕事に取り組む姿勢は、周囲を巻き込んでポジティブなエネルギーとなって自分に返ってくる。そんなことが伝わってくる内容だった。
最初は、覇権を派遣と勘違いしていて、アニメ業界で働く派遣スタッフのお話かと思った。僕のパートナーも同じように思っていたので、もしかしたら他にもそういう勘違いをしている人が多くいるかも知れない。もちろん作品は派遣の話ではない。アニメ業界を舞台とした「仕事」と、アニメが人の人生を変える可能性を見せつけた作品だった。
2021年1月1日金曜日
えんとつ町のプペル

えんとつ町のプペルを観てきた。色彩が豊かで、夢のある物語で、新年一本目としてとても良い映画を観ることができて、何か嬉しい気持ちになった。
父子の絆をテーマとした物語としては王道ゆくお話で、中盤からラストまでは予想を裏切らないベタな展開ではあったけれど、直球勝負でも打ち返されないだけの熱量を感じることができた。
たぶん、塞ぎ込んでしまいたくなるような今のご時世だから、考えることよりも、感じることを求めていて、そんな気持ちにハマった映画だったんだと思う。
2019年11月28日木曜日
ガリーボーイ

映画「ガリーボーイ」を観てきた。今年、劇場で観た作品は80本目くらい。その中で、一番心に突き刺さる映画だった。鑑賞後に小さな熱が燻り続けて、じっとしていられなくなるような、そんな気分になってしまった。
本作はインド映画で、実話をもとにした作品。インド映画によくある歌と踊りの力業押し切って勝ってしまうような内容ではなく、とても繊細かつ丁寧に作られ、そして役者の力量が存分に反映された正統派な作品だったと思う。
「格差」が固定化された社会で、底辺層にくらす若者が、ヒップホップを武器にのし上がるサクセスストーリー。夢と目の前の現実、自分の存在価値に対する不安、理解を得られない家族に対する葛藤など、誰もが通過する懊悩に、自分を重ね合わせて苦しくなる。
印象に残ったのは、主人公が使用人として富裕層に仕え、その家の娘をクラブまで迎えに行く場面。クラブからでてきた娘は泣きながら車に乗り込み、主人公は黙って車を運転する。帰路、バックミラーで娘が泣いているのを見ながらも、結局一言も声をかけない。貧富の格差による断絶がそこにある。
ロックではなくヒップホップ。実話だからそこは変えようがないのだけど、もしこれがロックだったら全く違った作品になっていた。溢れる激情を詩にして社会に対峙するのは共通だが、ヒップホップにはより生身の人間のリアルがある。ヒップホップの魅力に打ちのめされる映画でもあった。
2019年11月18日月曜日
映画「i 新聞記者ドキュメント」

映画「i 新聞記者ドキュメント」を観た。東京新聞記者、望月さんの著書「新聞記者」のドキュメンタリー映画版といった内容で、望月さんの取材をカメラで撮影した記録映画をみている感じだった。
映画版「新聞記者」は、松坂さんら役者陣の迫真の演技もあって、エンタメ作品としても一級の仕上がりだと思った。それと比べるのが正しいか分からないが、本作は「望月さん」ってこんな感じの記者なんだなぁというのを観ていたような気がする。
本作を観るまでもなく、現政権の「批判的なメディア」に対する対応は分かっていたことだし、その点で何か新しい発見があったわけではなかった。だから、少し肩透かしを食ってしまった。ただ、そのような問題にあまり関心のない人にとっては、観るべき価値のある作品だと思う。
2019年11月14日木曜日
タレンタイム~優しい歌~
故ヤスミン・アフマド監督の最高傑作と言われるタレンタイムを観てきた。本作はマレーシアで2009年に公開された作品。僕はヤスミン監督の作品も、マレーシア映画を観るのも(たぶん)初めてだったけど、完全に一目惚れしてしまった。
とある学校で開催される「タレンタイム」というマレーシア版「スター誕生」のような音楽コンペティションに参加する若者たちと、その家族の絆を描いたヒューマン・ドラマ。冒頭に流れるドビュッシーの「月の光」が美しく、そして優しく、象徴的にこの映画を伴奏する。
主人公の一人が劇中で歌う「ANGEL」は、一度聴いたら恋に落ちずにいられない名曲。好きな人のことを想う気持ちを、夜中に秘かに日記に記すような、しっとりとした泣きのバラード。僕なんかが言うとなんだが、まるで胸が締め付けられるような焦がれる気持ちになる。
母への想い、恋人への想い、きょうだいへの想い、親友への想い、本作では本当にさまざまカタチの、大切な人への想いが、飾らずに真摯に描かれている。そういう「想い」は、早すぎる日常に忘れがちで、気付いた時には遅すぎたりしがち。だからこそ、この作品に出会えてよかったと思う。
2019年11月10日日曜日
エイス・グレード

映画「エイス・グレード」を観てきた。米国のエイス・グレードとは日本の中学2年にあたる年齢のこと。そして日本と違うのは、この次は中3ではなく、日本でいうところの高校に入学することになる。つまり、卒業と進学を控えた微妙な思春期を迎えた女子生徒のお話。米国で口コミを通じてヒットした作品で、この手の作品で興行収入が1400万ドルを超えたらしいからすごい。
いまはスマホでSNSを通じてやり取りするのがコミュニケーションのインフラとなっているけど、抱えている悩みは、スマホがなかった時代と比べて基本的に変わっていない。いわゆる「本当の自分」がいて、いまの自分はそうじゃないから、だから苦しくもあり前向きにもなれる。古今東西、同じような思春期を体験した人はたくさんいる。当然すぎる感想だけど、その共感覚が本作が大ヒットで受け入れられた理由なんだと思う。
ちなみに主人公は心優しいパパと二人暮らし。映画のハイライトはそのパパが、娘のすべてを肯定して受け止めるシーン。ありのままのあなたでいい。そのすべてが愛おしくて、世界で一番大切な存在なんだと真心で抱きしめる。子育てにおいて一番大切なことが凝縮されている。僕も娘が同じような悩みを抱えたときに、そんな風に向き合いたいな思った。ま、それ以前に悩みを話してくれるような存在にならないといけないけどね…。
2019年11月9日土曜日
SCANDAL@豊洲PIT
今日のライブはSCANDAL@豊洲PIT(対バンで相手はキュウソネコカミ)。夏フェスでSCANDALを観て、お勧めしてくれた友人3人で行ってきた。初めてライブで観るアーティストで、BEST盤で予習したくらいしか知らなかったけど、観客との一体感が素晴らしく、ポジティブなエネルギーに満ちたライブだった。
CDで聴くよりもロックアクトらしい音圧と、それに対しミスマッチと言えるくらいキュートな佇まいが魅力的で、ガールズロックバンドの王道を見せつけれたライブだった。特に、ギターのMAMIさんが、演奏もビジュアルも可愛いのとカッコいいのが最高レベルでミックスされていて、それを観れただけでも元が取れたように思う。
対バンツアーだったので、演奏時間はアンコール無しの約60分。対バン相手のキュウソネコカミへの感謝を伝えるMCは好感度が高く、話を聞いていてちょっと温かい気持ちになった。一番印象に残ったのはリリースされたばかりの新曲「最終兵器、君」。僕の好きなバンド「スレイ・ベルズ」のような攻撃的なノイズポップがとてもカッコいい。
2019年11月7日木曜日
主戦場、UPLINKで再上映

東京新聞 2019.11.05
川崎市のある映画祭で、一時上映中止とされていた映画「主戦場」が最終日に無事公開された。僕もこの映画を別の劇場で観たが、とても考えさせられる内容で、ぜひ多くの人に観てもらいたいと思っていた作品だ。
内容は「従軍慰安婦問題」について、それぞれ問題が「あった」派と「なかった」派の論客の主張を織り交ぜながら、この問題について当事者意識を促すものとなっている。「なかった」派から上映差し止め訴訟を起こされているように、基本的には「あった」派の議論に理があるように話は進んでいく。
それしても、こういった作品を上映中止にすることは、表現の自由が問題視されている最近の世論を考えると、中止賛成側の狙いとは逆に注目が集まってしまうのではないかと思う。だってドキュメンタリー映画なんで大抵は世間に知られないまま終わってしまうのだから。
今回の川崎の上映も定員を大幅に超えるの鑑賞希望の申し込みがあったようだ。だから、どこかでまた上映されるだろうなと思っていたら僕がよく行く吉祥寺のUPLINKで明日8日から再上映されることになった。期間は短いのだけど、見逃した人はぜひ足を運んでみてください。
2019年11月2日土曜日
JOKER

2019年10月18日金曜日
劇場版 そして、生きる
劇場版 そして、生きる、を観てきました。主演の有村さん、坂口さんをはじめ、役者さんたちの好演が光るとても素晴らしい映画だったと思います。僕は、WOWOWで放映された連ドラ版はみていないのですが、この作品のためだけに、一時加入してみようかなと思ったほどです(結局しませんが、たぶん)。
どことなく「北の国から」を見終わったときと同じような感動がありました。それはたぶん、どちらも作品の内容に時間軸が大きな意味合いを持っていて、人の成長と親子関係の積み重なりなどが、視聴者の体感に訴えるものがあるからなのかと思います。
特に本作は、東日本大震災から今日(2019年春)までの、同時代に青年期を過ごした(僕のような)人たちにとっては、瞬間とも永遠とも感じられる特別な時間に焦点を当てたので、より濃密な実感と共感をもたらすことに繋がったような気がします。そして、そのことが普通のロマンス作品とは一線を画す傑作となったのではと思います。
余談ですが、有村架純さんも坂口健太郎さんも本当に素晴らしい俳優さんですね。有村さんは「ビリギャル」、坂口さんは「光のお父さん」から注目し始めましたが、久し振りに「人」で映画を観たくなる俳優さんに出会えました。
2019年10月14日月曜日
空の青さを知る人よ

映画「空の青さを知る人よ」を観てきた。想像していたよりも地味で内向きな内容だったけど、登場人物たちの気持ちの揺れを丁寧に描いたよい映画だったと思う。心の癒しと成長。「あの花」「心叫け」とも共通するテーマ。どれも舞台は秩父なので、これはきっと秩父3部作。
今作のハイライトはあいみょんが歌うタイトル曲。その曲がかかるシーンはハチャメチャで型破りで突き抜け方が圧倒的だった。悲しくも嬉しくもないのに、ただ真っすぐな気持ちであることに涙がこぼれる。たぶん自分が10代の頃には感じることのできなかった感性なんだと思う。
自分の「今」について肯定も否定もない。まだやれる気もするし、このまま(でいいの)かも知れないとも思う。けど、身近には未来しかない主人公がいて、どうしようもなく突き動かされる気持ちになる。そんな自分のような大人に向けた一本のような気もした。それと全くの余談だけど、観客の年齢層がやたら高かった(公開2日目)。
2019年10月11日金曜日
おしえて!ドクター・ルース

おしえて!ドクター・ルースを観てきました。ポジティブに生きること、しっかりと勉強(努力)をすること。苦境の中から這い出し、道を切り開いていくために、この二つのことは本当に大切なことだと、改めて気付かされる内容の映画でした。
今年観た「RBG 最強の85歳」のギンズバーグさんもそうだけど、女性の社会進出があまり認められていなかった時代に、知性と行動で社会の価値観やあり方そのものを変えてきたことは、どれだけ称賛されても足らないくらいのすごい実績だと思う。
ロールモデルとして捉えるには時代や次元が違い過ぎてしっくりこないのだけれど、僕的にはアイドルやアスリートよりも、身近に感じられて夢や希望を与えてくれる。特に、子どもを持って、子どもが育つまでは、自分の時間や収入を子どものために充てる人生になっても、それはやりたいことの妨げにはならないのだと教えてくれる。
2019年10月10日木曜日
存在のない子供たち

映画「存在のない子供たち」を観てきました。下記のいくつもの深刻な社会問題が重層的に描かれ、観ていてとても滅入ってしまいましたが、それでも観て良かったなと感じる映画でした。
親から子へ連鎖する貧困(貧困に関連する多産)
身分証明書がなく受けられない公的支援
移民問題(移民者の子どもの養育)
人身売買
児童婚
子ども人権
など。
映画として、特筆すべきだと思ったのは、主人公ゼイン(推定12~13歳)の「子ども」の視点で社会を捉えているところです。その分、やるせなさというか、自分の力ではどうしようもできない無力さがものすごく響いてきました。
ドキュメンタリーっぽさはあるものの、フィクションなので、物語もあるし、わずかばかりのカタルシスでもって締めくくられるエンディングも用意されています。でも、僕的にはどうしても希望は感じられない映画でした。
2019年9月28日土曜日
noodles@club que
noodlesの新譜「I'm not chic」ツアーに行ってきた。アルバムも傑作だったけど、ライブも本当に充実していて、トリプルアンコールでも足りないくらい、いつまでも聴き続けたいと思う、とても素晴らしい内容だった。
繰り返しだけど新譜「I'm not chic」は傑作だ。もうすぐデビュー30年だけど、ローファイな音もメロディーセンスもまったく衰えていないと思う。それでいて腰の据わった安定感すらあるから長く繰り返し聴けるアルバムになっている。
MCでは、レコーディング初期の頃は、良いアルバムを作れる気が全くしなかったと話していた。それが、ふと目にしたシドヴィシャスの「I'm not chic」という言葉にインスパイアされて、そこから奈良さんにジャケをお願いするアイデアなど、色々と発展していったらしい。
新譜のツアーは今日が最後で、地元の神奈川や東京エリアでもう2~3公演はやって欲しかった。多作ではないし、ワンマンもあまりやらないので、次が待ち遠しくて仕方がない。今年観た中では間違いなくベストアクトだった。
2019年7月25日木曜日
映画「すべての政府は嘘をつく」
ドキュメンタリー映画「すべての政府は嘘をつく」を観てきた。この「すべての政府は嘘をつく」というのは、故ジャーナリスト、IFストーン氏の言葉。映画は、IFストーン氏が残したジャーナリストの在り方をベースとして、大手メディアに属さないジャーナリストたちの活動と視点で、権力の「嘘」に切り込んでいく。とても見応えがあり、かつ考えさせられる内容だった。
また、上映後に東京新聞記者の望月衣塑子氏とアップリンク代表の浅井氏の対談があった。対談の中で、望月氏は人として「おかしいことはおかしい言いたい」というような発言をされていた。僕も同様に思っているのだが、最近は「おかしいことをおかしい」と言っても、それが響かない社会に変容してきているように感じている。
いわゆるまっとうな意見といったものが、シニカルに受け止めれてしまう社会。「意識高い系」なんていう意識の低すぎる言葉が、とても低いハードルで使われてしまっている社会。そんな状況に対して、ストレートに議論をぶつけることの有効性が問われているような気がしてならない。
そんな中、望月氏の原案で映画化された「新聞記者」の予想外のヒットは、まっとうな意見を社会に響かせるための、一つの効果的な手法を社会に提示したように思う。それは「アート」の持つチカラ。映画「新聞記者」は、映画として普通以上に面白い。サスペンス映画としてとても秀逸な作品となっている。そして公開1ヶ月で30万を超える動員をし、興行収入も4億を超えた(3億を目標としていたらしい)。
今日の対談で、望月氏も「新聞記者」のことに触れた。あの作品は関わった人たちが、安倍政権下で起こり、無かったことにされているさまざまな問題を、そのまま風化させてはいけない、という想いで、参院選まえに公開したということだった。そして、作品は多くの人に届くという結果となった。
「すべての政府は嘘をつく」というように今後も権力は「嘘」をつくことは間違いがないと思う。その「嘘」は、ジャーナリストの取材によって看破され、常識的な判断をできる人なら大抵「おかしいだろ」と見抜けるようなものだと思う。見抜いた先に、それをどう共有し、政権批判をするチカラに育てていけるか。映画「新聞記者」のヒットは「アート」の持つチカラと可能性を投げかけているように思う。
2019年6月23日日曜日
COALTAR OF THE DEEPERS @ CLUB SEATA
ディーパーズの1stアルバム25周年記念ライブに行ってきた。多少のハウリングはお構いなし、強く、激しく、そして速く。剛速球を連発するような度肝を抜く演奏だった。
1stアルバムから25年というだけあって客の年齢層はだいぶ高めだったけど、でもここに集まっただけあって、ファンの熱量は半端じゃなかった。
熱狂の渦に飲み込まれたかのような、本当に濃密な時間だった。ライブ後の終わってしまった感がとても長引く、印象に残る演奏だった。
1stアルバムから25年というだけあって客の年齢層はだいぶ高めだったけど、でもここに集まっただけあって、ファンの熱量は半端じゃなかった。
熱狂の渦に飲み込まれたかのような、本当に濃密な時間だった。ライブ後の終わってしまった感がとても長引く、印象に残る演奏だった。
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