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2010年7月15日木曜日

自然観光研修⑧先生たち



研修に参加した先生たちの紹介です。左からオーガンバートル先生(O)、РЭЙКО先生(P)、エミリー先生(E)です。

O先生はモンゴル国立大学で教鞭をとる生物学Ph.Dです。真面目でとても穏やかで、またモンゴル人としては珍しく時間通りに行動する方です。常にマイペースで今回の研修をリードしてくれました。

P先生は私のブログでもよく登場するO隊員です。ちなみに上のРЭЙКОはキリル文字です。なんと読むかわかりますか?

P先生は、最近はモンゴル人からもモンゴル人と間違われる生粋のモンゴル人化をしてきています。明るく元気で、彼女の周りからは笑いが絶えることのない天然のムードメーカーです。旅行業界に造詣が深く、エコツアーの土台となる観光の作り方について多面的な視座を頂きました。

E先生はメルボルン大でPh.Dを取得した動物学者で、コアラの生態調査が専門としています。ケニアをはじめとするいくつかの途上国で、エコツーリズムに関するフィールワークの経験があり、自然保護のための具体的な行動を指示してくれます。

今回は事前に打ち合わせをすることができなかったこともあり、研修期間中のそれぞれの役割分担があやふやになってしまった感があります。来セメスターからはそれぞれの持ち味を活かした活動がはじまることに期待大です。私も保護地域研究室を卒業した身として、日本の保護地域制度について紹介することを予定しています。

2010年7月14日水曜日

自然観光研修(番外) Sigur Rós : Hoppípolla



天国に最も近い音楽を鳴らすバンド。シガーロスの「Hoppípolla」。今回の研修中に一番よく聴いた曲です。



夜の草原でこの「Hoppípolla」を聴く。実は研修の裏目的でした。大草原が星の海に変わる夜に、ぽつんと一人立ち両手を広げる。そして曲が流れる。この曲はどうしてもそういう風に聴いてみたかった。

この世界の広さと美しさがとても感動的で思わず泣けてきてしまいます。日常から離れることによってでしか得られない感覚というものがあって、音楽はその感覚をさらに深く、そして透明にしてくれる。

いくつものそういう場面に出会えることができた。それは本当に幸せな体験だったと思う。


追伸:今日はO隊員の誕生日。いつも多大なお世話になっているO隊員。おめでとうございます。

2010年7月12日月曜日

自然観光研修⑦食事



今回は食事について。研修中は当然ですがほぼ100%自炊です(2度ほど食堂を利用しました)。食材はUBで買い込んだものと途中の商店で買い足したもの、そして捕まえたものです。

朝は基本的にパンとお茶。だいたい6時くらいに起床して7時には食事です。パンは途中で購入したブリヤート族の焼いたものがもっちりしていて美味しかったです。

お昼はまちまちです。移動日のときは朝食同様にパンですまします。そうでない時はパスタだったりスープだったりします。

夜は、日替わり当番でご飯を作ります。引率の先生、日本人とオーストラリア人のボランティアの日替わりです。私は見学担当でした。作ってくれたみんなに感謝です。

一番好評だったのは上の写真の手巻き寿司だったと思います。丁度この日までご飯ものは食べていなかったので格別に美味しかった記憶があります。

あとはなんといってもその場でさばいた山羊のホルホグ。お肉とジャガイモとニンジンを大鍋にぶっこみ、熱く焼いた石をその鍋の中に入れて焼いて調理します。

お肉は少し塩をまぶして食べます。とーっても脂っこくてジューシーです。内臓や血(固める)も全て食べます。お肉が苦手な人にはキツイかも知れません。

研修前に、JICAの方からモンゴル人との旅行は食事がきついかも知れない、と言われましたがまったく大丈夫でした。首都に戻ってからお腹をこわしているくらいです。

食事を思い出すと研修が懐かしくなります。



また、旅の食事は分け合いです。学生たちはよく自分たちが作った料理を分けてくれました。それも余ったものではなく、自分たちが食べるよりも先に分けてくれます。

モンゴルの学生のこういうところは本当に大好きです。


その他、記憶に残った食事。

・クリームシチュー
・べジマート
・コチュジャン
・テレルジヨーグルト/ウルム
・魚の揚げもの
・カレー

以上。忘れないためのメモ。食事はあまり写真を撮らなかったので。

2010年7月10日土曜日

自然観光研修⑥エコツーリズム



今回の自然観光研修の目的は、エコツーリズムにおける観光資源を理解するためのフィールドワークを行うことだったと思います。

はっきりと目的を断定できないのは行き当たりばったりの行動が多く、事前計画があまりされていないように見受けられたからです。

ともあれ、訪問した先々で、その土地の資源(自然、歴史、伝統、文化etc)をまとめる作業を学生たちと行いました。

通常の観光とエコツーリズムの違い。それは後者が通常の観光よりもその土地の自然や伝統文化の保存、そして地域への有形無形の還元を意図したものであるということです。

またエコツーリズムはサステイナブルツーリズム(持続可能な観光)と呼ばれることもあります。

いまモンゴルではエコツーリズムを国家戦略の一つとして確立、そして成長させようとしています。環境・自然観光省という省庁もあります。

私は今回の研修で、モンゴルにおけるエコツーリズムのポテンシャルはとても高いと感じました。と同時に非常に難しい課題にも多々直面することだろうと思いました。

・ガイドの語学力
・国民の自然保護意識の向上
・アクセス(手段を含む)難の克服
・保護地域のゾーニング
・レンジャー/インタープリター育成

などは、エコツーリズムを推進する上で恐らく避けられない課題だと思います。

またモンゴルのように観光地が広大であると、その土地の中での移動手段として車を使用することになってしまいます。

これは当然のように自然に与えるインパクトは大きく、人の足以上に簡単にオーバーユースに繋がります。

オーバーユースと言えばUBから車で2時間ほどのテレルジ国立公園は、夏のシーズンは明らかなオーバーユースにあると思います。

公園内を縦横無尽に走る車、いたるところで行われるキャンプファイヤー、散乱するゴミゴミゴミといった具合で、早急なゾーニング管理計画が必要と思われます。

課題ばかりに目が向いてしまいました。しかし繰り返しますがモンゴルのエコツーリズムのポテンシャルはとても高いと思います。

・遊牧民という誰もが興味を惹かれるであろう生活文化
・チンギス・ハーンとモンゴル帝国の歴史と謎
・時間の感覚が肌から離れてしまう果てしない草原

日本のような肌理の細かさを求めるのではなく、モンゴル独自の野性味溢れるエコツーリズムが実現できるのではないかと期待しています。

最後に、そのためにこれから学生たちに提供できる資料作りをしていきたいと考えています。

2010年7月5日月曜日

自然観光研修⑤ハプニング



3週間も旅を続けていると当然いろいろなハプニングに遭遇します。それも大自然の中を行くたびならなおのこと。ハプニングは一つのアトラクションであり、また乗り越えることによって貴重な経験となると学びました。

一番のハプニングは何といってもバスが泥濘にはまってしまったこと。合計3回ありました。はまり具合が浅い場合、全員でバスを押せば抜け出せるのですが、深くはまると大変です。

倒木を拾ってきて梃子の原理で車輪を浮かせます。車輪を浮かせたその隙に、石ころを敷いて道を補強します。

こういうと簡単なのですが、結構な力作業です。全員で力を合わせてやっと何とかなる感じです。

途中、近くを他の車や遊牧民が通りがかると彼らは当然とばかりに作業を手伝ってくれます。これはモンゴルの助け合いの文化を感じる瞬間です。日本もそうですが田舎では人の繋がりがそのまま社会の生命線となります。

貸し借りではなく互助がコミュニティの基盤であることは何とも安心感のある社会だと思います。

さて、はまったしまったバスですが一日頑張っても抜け出せないときもあります。



日が暮れたらその日は諦めて近くにテントを張って夜を明かします。こういうときは野営地を選べないので大量の蚊がいるところだったりすると大変です。刺されまくりです。


また草原では突然の訪問を受ける(または訪問する)ハプニングもあります。これはモンゴルならではだと思います。





その日の宿泊地でテントを張り夕食を作っていると近くのゲル(数キロ先)から遊牧民の家族がやってきます。

こちらが旅の目的地を話すと、彼らはそこへどういったらいいのか親切に教えてくれます。土地の人は自分たちの土地に精通しています。旅の途中何度か道を聞く機会がありましたが、その度ごとに目的地までの最適な経路を指示してくれます。

ここでも遊牧民の互助社会のあり方を実感します。


最後のハプニングは野生動物の捕獲です。



道行く途中、バスの前をタルバガンが横切ります。すると突然運転手がバスを止め、モンゴル人男集が飛び出して追いかけ始めます。あまりにも突然のことにびっくりしました。

そしてタルバガンを捕まえます。実はこの動物はレッドデータに登録されている希少動物です。またペストの感染源としても知られています。そのためこの捕獲の件をブログで紹介するのは悩みましたがありのままの事実として紹介します。

彼らにも希少動物という意識はあるようですが、野生の肉をみたら捕まえずにはいられない本能が理性を超えるのではないかと思います。モンゴル人の肉食文化を考えると複雑な気持ちになります。大きな課題です。

捕まえたタルバガンはその日の晩御飯としていただきました。

自然観光研修④お気に入りの写真

研修中に撮影したお気に入りの写真です。


(旅を感じる一枚です)


(夕暮れはいつも綺麗だった)


(草原で見かけたモンゴル美女。何を見つめているのだろう)


(長い冬が終わりすくすくと育つ草原の草)


(遮るもののない草原の果てに日が沈んでいく)


(この瞬間、salyuのグライドを聴きリリィを思った)


(ジャウツァーが教えてくれたモンゴルのおままごと。小石で作ったゲルです)


(上から見るとこんな感じ)


(倒木の根っこ。もののけ姫にでてきそうな生き物にみえる)


(森林の空。木々が星に変わる)


(夜の森は吸い込まれそうな雰囲気がある)

以上。

自然観光研修③チンギス・ハーンを辿る



チンギス・ハーン生誕の地を訪れる。これが私にとっての研修のハイライトでした。

以前『パックス・モンゴリカ』を読んで以来、チンギス・ハーンとモンゴル秘史について深く関心を持つようになりました。

史上最大の帝国を築いたチンギス・ハーンとその末裔。略奪が慣習として根付いていた草原文化のなかで、自らと家族を守る必然から始まった征服劇。歴史に例をみない宗教、民族の多様性を是とした寛容な統治政策。一方、自らに刃を向けるもの、法に従わないものは徹底して滅ぼす恐怖の人心統治。チンギス・ハーンへの興味は尽きません。

現代まで多大な影響と謎を残すチンギス・ハーンと彼の帝国の始まりの地であるブルカン・カルドゥン山とオノン川の源流域を訪れました。

UBから北東へ約400キロ。ヘンティー県にあるこのチンギス・ハーン所縁の地は2000年にオノン・バルジ国立公園として指定されました。面積は約4200平方kmととても広大です。

周囲を山脈と森林囲まれた清流オノン川は、日本人にとっては幻の魚であるイトウが生息することでも有名です。


(釣りに挑むモンゴル人)

国立公園内にはいくつもの史跡があるのですが、広大な土地に点在しているため車がないと見て回るのが難しいです。せっかくの自然の中を車で回るのは残念ですが、馬が乗れない観光者には仕方のないことです。



山の裾野を川沿いにひたすら歩きます。歩きながら、チンギス・ハーンも義理の兄を殺害した後に追っ手から逃れるためにこの周辺の山肌に身を隠したのかな、などと想像が膨らみます。



途中、モンゴルの歴史に詳しい学生がチンギス・ハーンにまつわるお話をたくさんしてくれました。本で読んで知った名前が出てくるたびに何ともいえない感慨深い気持ちと、贅沢な気分になりました。

大袈裟かも知れませんが、この地を歩く一歩一歩が歴史を感じる思い出深いものとして心に刻まれた気がします。再度訪れたい土地となりました。

自然観光研修②モンゴルの学生



研修期間中、寝食を共にすることによりモンゴルの大学生たちの素顔に近づくことができたと思います。

大学生を相手にこんなこと言うのは幼稚かも知れませんが、彼ら彼女らはとてもいい子たちです。今回の研修で以下の素養に気付きました。

・助け合いの精神を持っている
・肉体から溢れる生命力を持っている
・些細なことは気にしない、広いこころを持っている
・心根がとにかく素直で明るく元気である
・年長者を敬い、弱者に助ける優しいこころを持っている

いいことばかり書いているように見えますが、本当にこのように思います。勿論、よくない面もあります。

・人の話を聞けない(集中力が続かない)
・時間を守れない(これは一種の文化??)

などはかなり酷いレベルだと思います。

また、今回研修に参加した学生は地方出身の学生がほとんどだったのですが、彼ら彼女らの自然と関わる技術には目を見張るものがありました。

家畜のさばき方は勿論、薬草の見分け方やその使い方、樹皮から作るノートや帽子、即席で拵える釣竿や餌のミミズがいる場所の見つけ方、草の茎からとる水分補給などなど、さも当然のごとく自然と接する姿に、過酷な自然を生き抜く逞しさを感じずにはいられませんでした。

このような学生たちが夏が終わると喧騒の首都に戻り、窮屈な教室で座学を受けるのだと思うと不思議な感じがします。学べるものの質こそ違えど、草原での生活こそが生きるために必要な知恵の学習の場であると思います。

いつかモンゴルの大学生と日本の大学生が協働して、今回の研修を実施できたら面白いと思います。

自然観光研修①



6月15日~7月5日。約3週間に渡るモンゴル国立大学自然観光学科の自然観光研修から戻りました。

前半はチンギス・ハーンが生まれ育った地であるヘンティー県を訪れ、後半はUBから70Kmほどの避暑地でもあるテレルジ国立公園で研修をしてきました。

研修の参加者は国立大学学生約20名(途中で入れ替わりあり)、引率として国立大学の生物学の先生が1名、私を含むボランティアが3名(うち1名はオーストラリア人)という大所帯でした。

これだけ長い間UBを離れ、モンゴル人と共同生活をすることはなかったので、毎日が新鮮で驚きと発見に満ち溢れた充実した研修となりました。

モンゴルの大自然と悠久の時間と歴史。まるで時が止まってしまったかのような雄大な景色に包まれ、これまで体験したことのない時間の流れのなかで生活することができました。

いまだ感動が収まらないのですが、少しづつ自分自身にフィードバックしていきたいと思います。