2010年11月30日火曜日

『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?』



モッチー待望の新刊。約6時間、丁寧に一気に読みました。

本の内容は抜群に面白い。でもそれ以上に著者、梅田望夫さんの文章力のすごさに圧倒されてしまった。いや文章力だけでなく、観察力とか取材力とか、それをまとめる構成力とか表現力とか、およそ文章を書くうえで土台となっている全ての力の総合力のすごさに圧倒されたのだと思う。


「私は、ある対象に惹かれ、でもその素晴らしさが広く知られていなかったり、構造の複雑さゆえに一般にあまりその魅力が認識されていないとき、この手で何とかしてみたい、いつも心がうずく」(本分より)

インスタントで分かりやすいものが市場に好まれやすい現代において、とても価値のある挑戦を継続していることにいつも尊敬の念を抱く。私自身、梅田さんの仕事によって、Webの世界で起きていることや将棋の世界について純粋に面白いと感じ、並々ならぬ関心を持つようになった。

本分で紹介された、根性と努力の人である深浦棋士。羽生さんと対局し、人間としての底を見透かされているかのような恐怖を感じたという山崎棋士。棋士たちの人間味を感じることによってまた今回も将棋を観る楽しみを増やすことができたと思う。


余談だけど梅田さんの本からはお金のにおいが全くしない。将棋という多額の賞金の発生するプロの世界を扱っているのにもかかわらず。対象に対する探究心と、好きで好きでたまらない純度の高さによって自然となせる業なのだと思う。

本を読むときその内容よりも文章の持つチカラのようなものをいつも意識して読んでいる。繰り返しになるけど梅田さんの文章力はすごい。今回の感想はそのことに尽きてしまう。

2010年11月29日月曜日

環境フォーラムinかわぐち

「環境フォーラムinかわぐち」に行ってきました。主催は知り合いのAさんが代表理事を務める川口市民環境会議(HPはコチラ)。ちなみにAさんは私がロールモデルと考えているひと(Aさんの個人ブログも充実しています)。

環境関連のフォーラムに参加するのは久し振りだったので、なんだかホームに戻ってきた感覚がした。良くも悪くも環境関連のイベントの雰囲気って変わらないものです。

第2部の「川口市内のお店の環境対策のあれこれ」では面白いお話を聞くことができた。例えば店内の照明の工夫。照明の配置や角度、施設の細部にLEDを設置することによりお客が感じる明るさを損なうことなく従来の(確か)40%ほども省エネを実現しているスーパーがあるらしい。

他にも、昔ながらにお味噌の量り売り(容器持参で)しているところや、食品の袋に生産者情報のQRを添付していたり、さらにそこからお勧めレシピ情報にアクセスできるなど、食の安全やフードマイレージなどを考えた取り組みの実例をうかがうことができた。

こういう小売店のエコ対策は市民レベルの環境対策としてはとっても重要だと思います。そしてそういった情報を市民に広めるための活動も同様にとても重要だと考えています。

メディアでドイツや北欧諸国を指して「環境先進国」と日本で紹介することがよくあります。この「環境先進国」という定義はあいまいなのですが、私は「環境配慮した生活をしたい市民が、日常生活でそれを実現できる環境インフラが整っている」ことだと考えています。

例えば、気軽に足を運べる範囲に量り売りやオーガニック食品を変えるスーパーがあったり、自家発電した自然エネルギーを売電できる仕組みや条例があったりすることです。

そういう意味でフォーラムでのお話はとても有意義なものだと思いました。Aさんのプレゼンも上手かったし、ほんとさすがなぁって思いました。

あと、市内の小学生、中学生、高校生たちも自分たちの環境活動をプレゼンしていてそれもとても良かった。みんなプレゼンが上手。自分だったらあがってしまってああはできないな。

川口工業高校ではエコカーの製作をしていて、2000Km/Lの走行の実現を目指しているらしい。現時点で1700~1800を実現しているのだからすごい。免許もまだとれない年齢なのにエンジンとか分解してるからね。

最後は参加者全員にプレゼントが振舞われた。私も埼玉県産のお米「かがやき」を2キロも頂いてしまった。とってもラッキー☆最後ちょっと時間が無くてAさんに挨拶できなかったのが残念だけど、また今度パートナーと一緒にゆっくりご挨拶に伺います。

2010年11月28日日曜日

『草の上で愛を』



「正直者がバカをみる世の中は許せないんだよっ!!」。高校時代の担任だったT先生の名言。昨日、同級生の家に遊びにいったときに少しT先生の話題になり、友人の口からこの名言がもれた。

そしたら今日読んだこの小説の中でもまったく同じセリフがあって、偶然の出会いにちょっと驚いたし、なんかおかしかった。だってそのセリフをはいた人物がT先生にそっくりだったから。いい先生だったな、また会って話をしたいなって思う。

この『草の上で愛を』は児童文学の賞を受賞しているのだけど、賞に恥じないとても優れた作品だと思う。書き手の思い、というか願いのような思いが丁寧に文章に織込められていて、とても大切に読むことができた。文章から滲む景色が脳に染み入る。じっくり読むとそういう現象が起きる。


本の中の好きな言葉。

「どうしようもなく辛いときっていうのはさ、普段通りの自分でいることと、普段の自分を抜け出してみることと、全く反対のことが両方同じように大事やったりする」

「これだ、というものを持ってしまうとね、怖いとかそんなんはふっ飛ぶんですよ。その一瞬のためなら命なんか惜しくないというものがある」


作者の陣崎草子さんは自分と同年代の作家さん。最近同年代の作家さんの小説を立て続けに読んだ。他の年代の作家さんよりやっぱりわかる部分が多い気がする。雰囲気というか世界がというか。

なつかしさいっぱいと、本。



今日はなつかしい出会いがふたつ。ひとつは偶然に小学校の同級生と。もうひとつは高校の同級生の新居に遊びにいったこと。

おばあちゃんのお墓参り。モンゴルから間に合わなかったのがとても悔しかったけど、そういう気持ちも含めて改めて挨拶をしにいった。

そしたら偶然にお寺で働いている小学生の同級生に再会した。ものすごく久し振りで、たぶん20年振りとか。自分のことはしっかり覚えていてくれたみたい。今はもうランニングと短パンじゃないのね、って言われた。昔は一年中半袖短パンだった。冬でも雪が積もっても。そういう子そういえば最近見ないな。




そのあと高校の同級生に会いに千葉方面へ。こちらは1年半振りくらい。モンゴルにいる間に結婚していて、奥さんと仲良く幸せな雰囲気に満ちていて嬉しかった。友だちの幸せが一番嬉しい。また遊びにいきます。


話⇒変。





今日の一冊。どちらも教育社会学者の広田照幸氏の一冊。教育問題について考える視座を養うための優れたアドバイスが書かれている。教育に関する偏向報道に対していかに向き合うべきか。豊富な具体例をもとにした説明がありとにかく分かりやすい。

メディア・リテラシーを磨くうえでもとても有効な内容だと思う。高校生、大学生を意識して書かれているのでぜひそのターゲット層に手にとってもらいたいと思った。メディア・リテラシーは民主主義の基礎土台だと思っているので。


他にも最近読んだ面白い小説の紹介。



岡田利規さんの『エンジョイ・アワー・フリータイム』。文章による表現の可能性を感じる一冊。文章という既にある枠の中で新しいものを生み出そうというチカラのようなもの伝わってくる。内容よりもそういう創造力の表れが記憶に粘る本だった。


家の近くに図書館ができて最近は読み放題の状況。まだまだ感想を書いていきます。

2010年11月27日土曜日

虫川大杉



義祖母を訪ね新潟上越安塚に行ってきました。最寄駅は虫川大杉といって、天然記念物の樹齢1000年の大きな杉の木があります。



例によって下から撮影。最近は携帯カメラでよく撮影しています。携帯カメラくらいの画素だとなんか好きな雰囲気が撮れます。



安塚を訪れるのはまだ2回目。だけどとても懐かしい空気を感じます。ここは日本で一番の豪雪地域で毎年平均で4~5メートルは積雪するみたいです。いまはまだ紅葉がのこり彩豊かな風景がひろがります。



この地でやってみたいことは米の自給。現在パートナーと相談して計画中です。



山の中腹から水田を眺める。とても日本的な光景だと思う。誰もいないから思いっきり叫びました。風が涼しくて冷たくて静か。自然の音しか聞えない。



もう一枚とても日本的なショット。携帯カメラの割にはいいでしょ。光の入り具合とか一応計算してるんです。



この写真は地元江戸川の土手。ね、よく撮れてるでしょ。


話⇒変。

田舎の義祖母から面白い話を聞いた。毎年4~5メートルは積雪する豪雪地域である安塚。でも戦争が終わった年と翌年の二年間の間は全く雪が降らなかったらしい。

なんでも当時はカムチャッカ半島が日本と繋がって、その影響で気候が変わり雪が降らなくなったんだ、という説が流布したらしい。日本最大の豪雪地域の空白の二年間。地元の人しか知らない伝説です。こういう話が聞けるのは面白い。

他にも賞味期限にまつわる話があるのだけどまたの機会に。


更新が停滞したのでこれからまとめてライブと本の感想を書こうと思います。

2010年11月19日金曜日

講談社文庫刊行の辞



講談社文庫の巻末にある「講談社文庫刊行の辞」。これまで何冊も読んでいたのにもかかわらず素通りしていました。

じっくりと読んでみたら巻末に相応しい大変格調の高い文章で、凛とした空気を奏でている気配すら感じて、ちょっと居住まいを正してしまいました。


「激動の転換期を迎えて、長期に渡って良書に生命をあたえようとつとめるところにしか、今後の出版文化の真の繁栄はありえないと信じる」

「(文庫を送り届けることは)知識の泉であるとともに感受性のふるさとであり、もっとも有機的に組織され、社会に開かれた万人のための大学をめざしている」


出版文化に携わる人の情熱というか魂が込められていると思います。作家、作品に対してのみだけでなく、読み手がはらう敬意は出版に携わる人すべてに向けられるものだと思います。

2010年11月16日火曜日

自転車のライトを返してください

自転車のライトが盗まれました。返して下さい、盗んだかた。ライトを盗まれるのは悲しい。盗まれたライトも悲しいと思う。ずっと一緒だったのに。ね。


話⇒変。

今日のライブ。バッファロードーター@リキッドルーム。



とんがった音をだすギター。まるまった音をだすベース。ずずずずずどーんって響くドラム。寝不足で眠かったので音も光もなんだかぼやけた感じだった。

リキッドルームの床はコーラをこぼした後みたいにべたついて、歩くとキュッキュって音がする。

海外じゃ日本を代表するバンドなのにちょっともったいない見かたをしてしまった。演奏の半分くらいほかのことに集中していた。考え方によっては贅沢なBGMだけど、やっぱりもったいない。

新譜の「The Weapons Of Math Destruction」は地味で渋いよい作品だと思う。

おやすみなさい。

2010年11月10日水曜日

心の飢えが蔓延している



テラ・ルネッサンス・ウガンダ駐在代表小川真吾さんのインタビュー記事から(日経アソシエ:2010.10.19)。

「日本人はインドに来なくていい、日本ではホームレスの人の横を一般人が見向きもせずに早足に歩いていく。食べ物の飢えはないけど心の飢えが蔓延している、日本でやることは山ほどあるよ」

と、マザー・テレサは言っていたそう。

心の飢えが蔓延しているなんて言われたら日本人として悲しくてしかたがない。客観的になったつもりで「あぁ、そうだよなぁ」なんて評価してはいけないことのような気がする。

「心が飢えてるね」

声が聞えてきそうだ。やっぱりこんなことは言われちゃいけない。そう思う。

2010年11月9日火曜日

道 ~la strada~



気温20度。さわやかな秋晴れ。今日は歯の治療。しかも歯の神経を抜くという恐ろしい治療。モンゴルから虫歯を放置してきた後始末です。痛かった。。

フェリーニの「道」をDVDで見ました。この映画を勧めてくれたのはバガノールの同期O隊員。ちなみに彼女のブログも同名のタイトルです。

昔の白黒映画はそれだけで雰囲気があって好きです。特撮⇒デジタルと技術の発展により簡単に刺激的な映像が手に入るようになっても、良いものの良さはなくならないのだと思います。

とても哀しい映画でした。イタリア映画らしい哀しさです。アメリカ映画には無い。複雑な。哀しいと悲しいの違いはそこにあるのだと思います。O隊員は何を感じたのだろう。聞いてみたいな。


今日の一冊。『わたしたちに許された特別な時間の終わり』。



文章の一行一行が面白いと感じる作品。最近は読みやすいエンタメ小説を読んでいたので、句点の多い文章になれるまで時間がかかった。

文章は簡潔にまとまると読みやすく分かりやすい。けれど、長い文章には独特の風味がある。しめっけやにおいを起こすのはそういう文章のほうが多い気がする。

まだまだ知らない作家がたくさんいることは幸せなことだと思う。作品と共に感性をひろげていきたい。


歯の痛みが止まらない。鎮痛剤はもらったけど薬は飲まない主義なので。

2010年11月8日月曜日

北区王子



東京散歩@北区王子。目的は扇屋さんの玉子焼き。王子だから玉子なのか、玉子焼きの老舗が有名みたいです。

東京は都心を少し離れると緑が多い。そして昔ながらの佇まいにであえる。ちょっと前に雑司ヶ谷を散歩したときもそれを実感した。


(雑司ヶ谷の鬼子母神)

緑の中を歩くと落ち着くし、自然を感じてとても幸せな気持ちになる。人間にとって自然は不可欠だけど、東京に住むとそのことをより体感できる気がする。それが良いのか悪いのか分からないけど。



樹木を見上げる写真を撮るのが好き。木が伸びる様はまるで無計画なようでとても芸術的に見える。誰がとってもきれいに撮れるし。それってすごい被写体だと思う。スーパーモデルなんかめじゃない。



お目当ての玉子焼き。ふんわりとしてコクのある甘さ。何より量が多くて食べきるのが大変だった。散歩の楽しみは自然と食。これはゆずれない。


話⇒変。

日中関係が良くない。これはもう定期的な出来事であって、政治的な外交カードとして利用されるに過ぎないものだと思っている。

歴史問題も、掘り起こしてはどっちが正しいの間違っているのだと言い合って、根本的な解決はもはや不可能だと思っている。

だからといって「真実」を探す努力を否定しているわけではない。むしろそれは続けていくべき重要な仕事だと考えている。

ただ、もう一つのベクトルが必要。それは未来を創っていこうとするベクトル。私たちの世代のベクトル。

日中韓、他のアジアの国々の高校生たちが英語でディスカッションをする場を作れたらいいと思っている(すでにやっているところはあると思う)。テーマは平和に関することや、自国の文化とか色々。そしてそれを動画でweb上にUPする。きっと反響を呼ぶと思う。

これからのアジアはますます人的交流が加速する。そんな時代に過去に囚われて差別や偏見で向き合ってしまうのはもったいないし、何も生み出さない。

だから若い世代は自分たちの未来は自分たちで創っていくという新しい価値観を持ったほうがいい。そしてそのためにはお互いに話し合いをするしかないだろう。言葉は英語で。それが一番公平だから。

了。

2010年11月6日土曜日

自分が少数派だと感じる瞬間

黒澤明監督の生誕百周年記念ということで近所の映画館で公開中の「七人の侍」を見てきた。名作は劇場で見たいと思う。だからタイミングよく見れてラッキーだった。スクリーンで見るとやっぱり迫力がぜんぜん違う。


話⇒変。

自分が少数派だと感じる瞬間がありますよね。私は、人と違うね、とか、変わってるねって言われるのは正直どう受け止めたらいいのか困ります。いちおう褒め言葉だと思うようにしていますが。きっとそうではないのでしょう。

それで、自分が少数派だと感じる瞬間は、

1.TVを見ない。(最近TV無し層は増えていると聞きます。私は15年近くまともに見ていません。)
2.結婚(式)に対する意識が希薄である。(特にありきたりの結婚式はどうでもいいと思っている。)
3.徒歩1時間圏内なら歩いて目的地まで行く。(散歩が好きなんです。)
4.薬を飲まない。(薬の効用をあまり信じていないです。)

こんな感じです。ほかにもきっとあると思うのですがパッと思いつかなかった。。指摘したい方は指摘してください。


話⇒変②。

重松さんの『希望が丘の人びと』と金原さんの『アッシュベイビー』を読んだ。



つい先日『涙の理由』で重松さんと茂木さんの対談を読んだので、同時期に書かれていたこの小説にとても興味があった。『涙の理由』が小説の主人公たちの涙の理由を感じるよい助けとなっていたように思う。



『アッシュベイビー』は蛇ピの金原さんの二作目。おそらくこの人の才能は抜きん出ていて、追いつけないといかついていけないところがある。でも記憶に残る表現力を持つな作家なので文章に中毒性がある。これからも読み続けると思う。


明日もよい一日でありますように。

2010年11月4日木曜日

ナビゲーターを借りて美術館を歩こう

私のパートナーは、美術館では館内の有料の解説ナビゲーター(相場:500円)を借りて鑑賞するタイプです。私は500円あったら3回我慢してCD1枚買おうと考えてしまうタイプ(私の金銭感覚は全てCD購入枚数で表現されます)なので、事前にネットで解説らしきものをチェックしてから鑑賞しています。

解説に囚われずに自分の感性で作品を楽しみたい。余計な先入観や知識を持たずに作品と出合うことに醍醐味がある。そういった見方があるのは知っているし、その意義も分かっているつもりです。ただ、それでもあえて美術館では解説ナビゲーターを借りて作品を鑑賞することをお勧めします。

解説機を借りることにより作品そのものの背景や、描かれた当時の時代性、社会通念などの理解が深まり、同時に鑑賞する目に補助線が引かれてより多面的に作品を楽しむことができるようになります。解説を聞かなければ分からなかった作品の文脈が自分の中に流れ、思わぬ感動を発見することにも繋がります。

美術だけでなく、音楽も解説する文化が大切な領域だと思います。特に洋楽ロックなんて解説が無かったらなんのことだかさっぱりわかりゃしないとも思っています。自分が音楽雑誌を読んだり、ネットで情報を拾っているのそれが理由で、解説も読まずに「分かる」なんていっている人はあんまり信じられないです。

ホワイト・ストライプスという好きなバンドがあって、バンドのフロントマンのジャックホワイトは「真の創造力とは制限する枠組みの中で生まれる」という名言を残しています。このバンドは、赤・白・黒をコンセプトカラーとして、ジャケットからライブのセットに至るまでこの3色で全ての表現活動を行っています。

自分はここからアート的なモノは意識的無意識的を問わず「枠組み」を必要としていて、その中で炸裂した創造力こそが表現なのだと考えるようになりました。そしてアート的なものを楽しむ側に、この表現者の「枠組み」を補助線を引く形で示してくれるものが「解説」なのではないかと思います。

ここまで読んで下さった方でこれまで解説を聞いたことのない方は、ぜひ一度解説を借りて美術館を歩いてみて下さい。きっと新しい感動があると思います。なければないで次は解説を聞かずに楽しんで下さい。

YUI



こんな超個性的で才能の塊のようなアーティストを今まで聴いてなかったなんて。武道館公演も間に合わなかったしショック。

最新作の「HOLIDAYS IN THE SUN」で衝撃を受けて、遡って全部のアルバムを聴いてみた。どれもすごくいい。改めてショック。あー。

彼女の音楽には自分が試されているような感じがする。自分がニセモノだって暴かれるようでまともに向き合えないような怖さがある。そんなアーティストに出会ってしまったのは初体験かも知れない。

これからしばらくはYUI一色になりそう。

Perfume@東京ドーム



Perfumeデビュー10周年記念ライブ@東京ドーム。キャパ5万人の会場が満席。チケットは即日完売。ここまで混雑した東京ドームは初めて。巨人戦も超える熱気だった。

正直ちょっと感動した。たった3人でドームを人で埋め尽くすなんてすごすぎる。メンバーの顔と名前も一致しないで、旬のアーティストを観ておこうと軽い気持ちできた自分を反省した。

パフュームはアイドルなのか分からない。アイドルに分類されるのだろうけど、あまりにもらしくない。ほとんど知らないけどAKBのような同時代のアイドルとはやはり違うだろうと思う。比べるのがばかばかしいくらいに。

ライブからはとてもストイックなものを感じた。アイドルを定義付けるような自我が全く前面に出てこない。モードがパフュームあっての客じゃなくて、完全に客あってのパフュームだったのだと思う。やっぱりアイドルではないと思う。

今回の東京ドーム公演は3人が自ら志願して実現したらしい。それも理由が自分たちを極限まで追い込みたかったからなのだという。そういう発想にすごく生身を感じてしまう。次はどこを目指すのだろう。

ロック評論家の大御所渋谷陽一氏をはじめ、ロッキンオンスタッフも今日のライブをブログに書いています。すごさが伝わるので読んでみて下さい。

パフュームライブの記事: 渋谷陽一 山崎洋一郎 兵庫慎司 小池清彦

2010年11月2日火曜日

三毒再考察と『涙の理由』



自分がマック難民化していると感じる今日この頃。まぁ無収入だからしょうがない。

今日の一冊は『涙の理由』。茂木さんと重松さんの対談本。タイトルに猛烈に引かれたので読んだ。涙の閾値がとてつもなく低い自分が、何だかお二人から説教されているように感じて気詰まりではあったけど、とても興味深く考えさせられる内容だった。


話⇒変。カツマーな自分は三毒追放(怒り・妬み・愚痴)を意識的に生活しているのだけど、怒りは追放すべきでないと思った。

というか、そもそもこの三毒追放の怒りは社会的な問題に対する怒りは対象としていない。いわゆる「イライラ」、それも対人関係におけるものを追放しようといっている。そこをつい最近まで思い違いをしていた。

怒りの無い状態は不自然だし、怒りを抑えている状態が比較的いい状態となるとも思えない。キレるのと怒るのは違う。自分の中に判断力を伴う正義を持った人の怒りは人間社会にとって必要なエネルギーだと思う。

同様にいいことだと思っていたけど、深く突き詰めて考えなくてはいけないと思う言葉に「素直」がある。ちなみに、このブログのSUAGEのSUは素直のSUです。

素直は上にも出てきた正義という言葉と密接な関係があると思っている。ともに判断力(情報を集め自分で考えて決める)が伴わないと毒になるし、正しさを考えない素直さは危険だ。


話⇒戻。本の中で好きな言葉。

「僕は、一生懸命に生きています」(茂木さん)

「精神の糖尿病」

本来、最上の快楽とは艱難辛苦を乗り越えた先にあるもの。けど現代は苦痛を避けて快楽だけを求めようとしてもそれが実現できてしまう。そんな状況を指して「精神の糖尿病」といっている。

私は「一生懸命に生きている」といえる人がすごい好きだし、とても尊敬してしまう。それはきっと自分が一生懸命に生きているのとは違うからなんだと思う。

2010年11月1日月曜日

帰国報告とまとめ

ちょっと遅くなりましたが帰国報告です。

本日江戸川区に住民票を戻して本帰国です。足元が落ち着かなかったのですっきりしました。今後は今月の短期ボランティア選考を受け、本来の任期である来年6月までボラ活動をする予定です。

モンゴルでの活動を総括すると、大きく2つのいいことと大変なことがありました。

いいことは、

・同期をはじめとする素敵な人たちとの出会いがあったこと
・環境教育について真剣に考え、実践する場がつくれたこと

大変だったことは、

・大気汚染にやられ体調がぼろぼろになったこと
・言葉の壁が厚く、特に前半は現地の人とのコミュが難しかったこと


そして一番印象に残っているのは、エコクラブの発表会と自然観光学科の研修(2つですね、、)。どちらも忘れらない、そして人生観に大きな影響を受けた出来事です。


何はともあれ、やっぱり人との出会いが大きかった。それが全てと言ってもいいくらい。出会いによって学び生かされる様は、どこにいてもいくつになっても変わらないものです。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

特に、共に活動を続けてきたO隊員からは本当に沢山のことを学ぶことができたと思う。O隊員を通じてまた自分のことを知るようになった。これからも同じ方向性を向いて共に活動を続けて行きたいし、きっとそうなる気がする。


色々とあったけれどモンゴルは好きな国です。歴史や文化にも興味が尽きません。なのでこれからもモンゴルとは関わりを持ち続けていきたいと考えています。モンゴルの環境問題に関してもアンテナを張り続け発信していきたいと思います。

また日本にはモンゴルで出会ったT君がいます。彼は将来のモンゴル担う人物なので、彼とビジョンを語り、モンゴルのこれからについて考えていきたいです。

簡単だけど以上まとめ。モンゴルでの経験と反省は次の国で活かします。