2011年1月10日月曜日

『荒廃する世界のなかで』



今日の一冊。ハンナ・アーレント賞受賞学者トニー・ジャレット氏の遺作となる『荒廃する世界のなかで』。人名などの脚注が多く、読み進めるのが難しかった。本気で読まないと深い理解に到達できないと感じる一冊だった。

印象に残った箇所。知識人へ対する批判として。

「他人とは異なる見解を保持し、怒っている読者や賛同していない視聴者に向かって、それを主張してゆくのに必要な精神的勇気が、今や至るところで払底しているのです。」(本文より)

「何が正しいか間違っているかを他人に納得させようとすれば、わたしたちに必要なのは方法の言語ではなく、目的の言語です。」(本文より)

先日読んだ田原さんの本を思い出した。本文で55年体制以降の錚々たる政治家が登場するが、彼らに欠けていたのは「精神的勇気」や「目的の言語」だったのではないかと思う。また、それを批判するマスメディアも同様に。

話⇒転

副題に「これからの「社会民主主義」を語ろう」とある。読んでいてたえず「ブータン」が脳裏に浮かんだ。本書で捉えている「社会民主主義」な国家とは、(行ったことはないけど)GNHを豊かさの指標として持ち、政治を行うブータンのような国家なのではないかと思う。

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