2017年1月22日日曜日

アンドロイドは人間になれるか

石黒浩「アンドロイドは人間になれるか」文春新書 2015

当ブログではお馴染みの石黒先生のアンドロイド本です。過去に出版された本と重複する内容は多いものの、改めて先生の研究の面白さに思考が刺激されます。(念のため書きますが、僕は理系音痴です。それでも((きちんと理解できているかは別として))何の苦もなく読み進められます)

人とは何か。心とは何か。他人の気持ちとは何か。アンドロイドを通じてそれらのことを考え続ける。アンドロイドが登場するどんなSF作品より、身近でリアルに感じるのは、自分の中にある分からない問いに向き合うことになるからだと思います。考えるという行為の、どうしようもないくらいの苦しさや楽しさによって、僕は自分の確かさを実感しているのかも知れません。

一つ気になったことは、アンドロイドが高度化することに伴い、作る側と使う側の「差」がこれまで以上に広がるということです。それは主に技術的な難易度に依拠する文脈で語られているのですが、核兵器とは違い、アンドロイドはスマホのように社会的な存在となることが予想される中で、この「差」の拡大がどのような影響に繋がるのか。不可避な変化だけに怖さも感じます。

0 件のコメント:

コメントを投稿