2017年2月21日火曜日

中東の絶望、そのリアル


約20年に渡り中東情勢を現場から報じ続けたアメリカ人ジャーナリストが語る中東。自身が実際に見て、そして体験したことをもとに語るのだからリアリティーを感じます。シリア難民問題についての情報を取集として読み始めたのですが、本書からは混迷する中東と、米国の政策とのリンクが読み解けて理解が深まりました。

特に、イラク戦争へのブッシュ政権の介入と、アラブの春以降のオバマ政権の中東不介入が、中東の混迷を加速させ、ISの台頭を招いてしまったことについて、他書よりもその変化の様子を捉えていて分かりやすかったです。

また、中東の今後を予想する終章では、安定のために新たな独裁者の誕生と、その体制維持のために監視社会が強化されると述べています。それは中東に限らず、日本も含め、世界の多くの地で現在進行形な気もします。

以前読んだ「シリア難民」もそうだったのですが、欧米ジャーナリストの書く本は、主語が本人で、その体験がある意味ドラマチックに綴られているので、読み物として面白い反面、若干の押し付けがましさのような熱を感じます。良いとか悪いとかではなく、著者が側にいて話をしているような、そんな感覚になる一冊でした。

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