『釣竿をあげるのではなく釣り方を教えることが大切』これは国際協力の世界では定説となっている格言です。
モノをあげても使い方が分からなかったり、壊れてしまっては役に立たない。それよりも現地で調達できる技術で、生活向上の役に立つ知恵を伝達することの方が役に立つ。そういう意味が含まれています。
ここから「適正技術」という概念も生まれました。適正技術とは、その国の経済力、技術力、伝統文化、資源などを包括的に考慮し、最も相応しい技術を導入するという考え方です。私自身もこのことは常に意識をしながらモンゴルでの活動にあっています。
但し『釣り方よりも釣竿をあげたほうがいい』ということも現実にはあると思います。医療現場がその最たる現場だと思います。必要なものが無いために命が失われているという現実。少しのお金をかけることによって助かる命があるということ。そういう時は、まずはモノを贈ることが何よりも優先されるべきだと思います。
命の価値は平等。というのは実は作られた建前で現実は違う。少し前に日本で話題を呼んだ『闇の子供たち』はそういった一面を切り取った映画でした。しかし、この映画が本当に伝えたかったメッセージは、宮崎あおいが演じるNGOスタッフが、そのどうしようもない現実に対し、一人で立ち向かっていった姿勢そのものだったのだと思います。
少し話がそれてしまいました。今日のブログは医療現場で働く同期隊員から、モノが無いために失われていく命を目の当たりにした、という話を聴き、思うままに書きました。実際には個人がポケットマネーでモノを贈ることは困難で、それは贈る方、貰う方、双方にとって必ずしもよい結果を生み出すとは限りません。しかし「モノを贈るという援助」は有効な援助であり、日本のODAも「必要な釣竿」は何かということを考える必要があります。
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