モンゴル・日本センターの市民講座「ウランバートル市の大気汚染問題」に参加してきました。
すでに有名な話ですが、UBの大気汚染は非常に深刻な問題となっています。特に冬の大気汚染は酷く、地理的に山に囲まれ風が吹き抜けない市街地では、10メートル先の視界が靄でかすむとも聞きます。
原因は、火力発電所からの煤煙、自動車の排気ガス(市場は10年以上使用された中古車が多い)、廃棄物の露天焼却などがありますが、一番の汚染源はゲル地区で暖房用に使用する石炭の焼却煙です。大気汚染物質の83%ほどがゲル地区からの煤煙が原因であると言われています。またダイオキシン濃度が国際基準の7倍、窒素酸化物、硫黄酸化物が基準値の2~5倍を記録している観測データもあるようです。
ゲル地区の人口は社会主義崩壊の90年以降、年々増加し、2006年には90年比2倍となりました。その多くは不許可移住で、幹線道路沿いに市街地を形成しています。そのため政府は今後、ゲル地区にアパート住宅建設を進め、市街地同様に石炭に頼らない温水暖房を導入していく計画を立ています。また、コークスの使用による燃料改善や、植林、中古車両点検なども検討されています。
計画によると、2020年には現在より14%ほど大気汚染物質の削減が可能となるようです。しかし、ゲル地区のアパート住宅化などは、一度空き地を作らなくてはならないため、住民側との大きな軋轢が生じる可能性を孕んでいます。そこには開発と伝統文化の共存というもう一つの大きな問題も浮かび上がってきます。この問題についてはまた別の機会にレポートする予定です。
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