2010年3月30日火曜日

『レディ・ジョーカー』

体調を崩し寝込んでしまいました。治りかけたところを無理をしたためだと思います。今回は熱がなかなか下がらずしんどかったです。明日は溜まっている事務作業を気合で片付けようと思います。

今日の一冊。熱にうなされながらも床で読みきりました。高村薫の『レディ・ジョーカー』。二段組の上下巻850ページ。


( 高村薫『 レディ・ジョーカー 』毎日新聞社 )

高村薫は『マークスの山』以来二冊目。圧倒的な取材力に裏付けられた巧緻な描写が生むリアリティはさすが。読み応えがあります。

社会の闇と人の心の闇。犯人と警察が主役の犯罪小説ではなく、犯人も警察も呑み込まれる社会の悪の姿に近付く小説。救いや希望の欠片の見えない登場人物たちに、読んでいて不気味な感じを覚えた。

読んでいて、現実は小説よりましであって欲しいと心から思った。それくらい凄惨で、また出口の見えない世界だった。読後に途轍もない疲労感に襲われた一冊。

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