2010年10月28日木曜日

天井が違うと眠れない

時には昔の話。13年くらい前こと。

チューリッヒに住む友人のマーセルが「天井が違うとよく眠れない」と言っていたのを唐突に思い出した。

枕が違うと眠れないっていうのはよく聞くけど、天井がっていうのはその時初めて聞いた。確かに二段ベットの下じゃない限り、人は寝るとき天井をみる。それはきっといつも同じ天井だから、意識しない当たり前のことになっているのだろう。

だから旅行とかで外泊するといつもと同じ天井じゃなくなる。大抵の人は普段天井が同じなのを意識しないから、天井が変わってしまったのも意識しないのだと思う。でも天井は変わっているいるから無意識のレベルでは何か影響を受けているのかもしれない。

だから、枕が違うから眠れないっていう人は、もしかしたら天井が違うから眠れないのかも知れないって思ったりもする。枕持参で外泊する人は分からないけど。

マーセルはすごく気の合う友達で、時には日本人同士よりも分かり合うことができた。

例えば、お互い小雨程度であれば傘を差さずに濡れながら歩くのが、周りのほかの友達が不思議がっていたけど、視線を交わすだけで"小雨の中を傘を差さずに歩くことがいい"っていうのが伝わった。


スイスで旅の荷物をまるごと盗難されたとき彼の家に一週間近くお世話になった。茫然自失で途方に暮れていたとき、彼は「ストリーツ・オブ・ロンドン」という曲を聴かせてくれた。

どんなに死にたいくらい絶望的な状況に合っても僕は君を見捨てない。ロンドンの街中を歩き、君の気持ちを変えさせる何かを見せてあげるよ。

盗難事件のことには何も触れず、ただ黙ってこの曲聴かせてくれた彼はすごいかっこいいと思った。


たまに天井が違うことを意識すると彼のことを思い出します。元気かなぁ。

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