2010年11月30日火曜日

『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?』



モッチー待望の新刊。約6時間、丁寧に一気に読みました。

本の内容は抜群に面白い。でもそれ以上に著者、梅田望夫さんの文章力のすごさに圧倒されてしまった。いや文章力だけでなく、観察力とか取材力とか、それをまとめる構成力とか表現力とか、およそ文章を書くうえで土台となっている全ての力の総合力のすごさに圧倒されたのだと思う。


「私は、ある対象に惹かれ、でもその素晴らしさが広く知られていなかったり、構造の複雑さゆえに一般にあまりその魅力が認識されていないとき、この手で何とかしてみたい、いつも心がうずく」(本分より)

インスタントで分かりやすいものが市場に好まれやすい現代において、とても価値のある挑戦を継続していることにいつも尊敬の念を抱く。私自身、梅田さんの仕事によって、Webの世界で起きていることや将棋の世界について純粋に面白いと感じ、並々ならぬ関心を持つようになった。

本分で紹介された、根性と努力の人である深浦棋士。羽生さんと対局し、人間としての底を見透かされているかのような恐怖を感じたという山崎棋士。棋士たちの人間味を感じることによってまた今回も将棋を観る楽しみを増やすことができたと思う。


余談だけど梅田さんの本からはお金のにおいが全くしない。将棋という多額の賞金の発生するプロの世界を扱っているのにもかかわらず。対象に対する探究心と、好きで好きでたまらない純度の高さによって自然となせる業なのだと思う。

本を読むときその内容よりも文章の持つチカラのようなものをいつも意識して読んでいる。繰り返しになるけど梅田さんの文章力はすごい。今回の感想はそのことに尽きてしまう。

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