2010年11月28日日曜日

『草の上で愛を』



「正直者がバカをみる世の中は許せないんだよっ!!」。高校時代の担任だったT先生の名言。昨日、同級生の家に遊びにいったときに少しT先生の話題になり、友人の口からこの名言がもれた。

そしたら今日読んだこの小説の中でもまったく同じセリフがあって、偶然の出会いにちょっと驚いたし、なんかおかしかった。だってそのセリフをはいた人物がT先生にそっくりだったから。いい先生だったな、また会って話をしたいなって思う。

この『草の上で愛を』は児童文学の賞を受賞しているのだけど、賞に恥じないとても優れた作品だと思う。書き手の思い、というか願いのような思いが丁寧に文章に織込められていて、とても大切に読むことができた。文章から滲む景色が脳に染み入る。じっくり読むとそういう現象が起きる。


本の中の好きな言葉。

「どうしようもなく辛いときっていうのはさ、普段通りの自分でいることと、普段の自分を抜け出してみることと、全く反対のことが両方同じように大事やったりする」

「これだ、というものを持ってしまうとね、怖いとかそんなんはふっ飛ぶんですよ。その一瞬のためなら命なんか惜しくないというものがある」


作者の陣崎草子さんは自分と同年代の作家さん。最近同年代の作家さんの小説を立て続けに読んだ。他の年代の作家さんよりやっぱりわかる部分が多い気がする。雰囲気というか世界がというか。

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