2011年1月21日金曜日
『身体知』
今日の一冊『身体知』。内田樹氏と三砂ちづる氏の「身体とコミュニケーション」に関する対談本。内田さんの対談本は、両者がとてもいい気分で話を進めている感じが伝わってきて、こちらも穏やかな気持ちで読み進めることができる。
身体能力を高める着物の効用について。
「着物を着ていると、洋服の場合よりも身体の使い方に意識的になりますね。自分がこれからどういうふうな空間をどういうふうに移動するか、それをしっかり予測しておかないと動けないから~~」(本文より)
着物は、その艶やかさから視覚的特徴に注目が(特に海外では)集まりがちな気がする。でもその効用に意識を向けるともっと驚かされる発見がある。それは伝統文化の歴史体験に感動するような体験なのかも知れないと思う。こういう知識は繋げていきたい。
話⇒転
「身体とコミュニケーション」ということで、モンゴル人から学ぶべきだと常々考えているコミュニケーションがある。(ブログで何度か紹介しているかも)
モンゴルでは混雑しているバスや街中で、誤って人の足を踏んでしまうことがよくある。そのときモンゴル人は踏んでしまった相手の手を握って"ごめんね"の意思表示をする。
最初は急に腕を掴まれたりするので慣れなかったけど、しばらくするとこちらからも同じことができるようになった。むしろしないと気持ち悪いくらい。
これは「謝意」のほか「私はあなたの敵ではありません」の意味があるらしい。内田氏の本で武術の本意とは「敵を作らないことにある」と読んだ気がする。そういう意味でもとても優れたコミュニケーション方法だと思う。
日本では昔、武士同士が道でお互いの鞘がぶつかると「無礼」といって斬ってしまうのが当たり前だったそう。(本文の内容)だから鞘の先端まで「自分の身体」として意識が及んでいたらしい。斬るという行為はいまの時代ではどうかと思うが、身体が鋭敏なコミュニケーションと結びついていてはっとさせられた。
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