2017年9月24日日曜日

いつかの夏


「将棋の子」や「聖の青春」の著者、大崎さんの新刊。名古屋闇サイト殺人事件を追ったノンフィクション作品。読む前は、事件の凄惨さから読み進められるか自信が無かったのだけど、引き込まれるように一気に読了した。

死刑制度について考えさせられる。そもそも死刑は必要かどうか、ということと、死刑の基準とは何かということ。本件では、主犯3人に対し、一人は死刑、他二人は無期懲役の判決が下された(一人は別件で起訴され死刑判決。現在控訴中)。

僕は、冤罪の可能性から死刑制度には反対なのだけど、本件のように冤罪の可能性が微塵もなく、かつ動機や殺害方法が極めて残虐な犯人に対しては、遺族が望むのなら死刑止む無しと考えてしまう。特に、残された遺族の感情を慮ることが必要であると感じた。

それは多分、本書で被害者である母娘の成長の過程が、寄り添うように丁寧に綴られているから、そう感じたのだと思う。冷静な判断とは、感情を排して論理的に考えることではなく、対象となるもの理解しようとする深慮を欠くことなしにはできない。そんなことを学んだ。

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