2019年11月1日金曜日

東京貧困女子


東京貧困女子を読んだ。読み進めるのが苦しくて、何度も中断しながら読み終えた。これまで読んだ「貧困問題」に関する書籍のなかで、現実のどうしようもなさが一番伝わってくる内容だった。貧困に苦しむ東京で生きる女性たちの、過酷な現実が、彼女たちの自己責任というよりは、むしろ男性優位の社会構造や、現状を改悪する政府の(意図的な)政策によってもたらされていることに、憤り、やるせなさ、無力感、絶望感など、およそあらゆるネガティブな感情を抱いた。

ごく普通の女子大生が、学費や生活費のために当たり前に体を売る社会。真面目に働いても生活保護水準並みしか稼げず、生活が成り立たないシングルマザー。体調不良や介護離職などの理由で一度退職すると最低賃金でしか復職することのできない雇用環境。低賃金で徹底的に使い込み、精神不調を来したら切り捨てる介護業界。これが日本なのかと目を覆いたくなる数々の現実。

どう考えても社会がおかしな方向に向かっているのに、全然歯止めがかかる様子がない。もう日本社会は底が抜けてしまって、そのことにきっと多くの人が気付きながら、自己防衛でいっぱいいっぱいになっているのだと思う。明日は我が身。とても周りに気を配る余裕なんかない。それが現状なんじゃないだろうか。本当に希望のかけらも見えない。でも知らないでいるよりは知った方がよい現実だと思う。多くの人に読んでもらいたい一冊です。

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