2019年11月11日月曜日

真山仁「トリガー」


ハゲタカの真山仁さんの新刊「トリガー」を読んだ。今回のテーマは民間軍事会社。これまでの真山さんの小説の中ではもっとも血のにおいのする作品だった。相変わらずテンポよく飽きさせない構成にサスペンス要素が絡まって、一機読了間違いなしの面白い仕上がりになっている。

主人公は、引退した元内調トップの冴木。彼がまた「鷲津」っぽく、新たなノワール・ヒーローの誕生か?と思わせる。ただ、彼以外のキャラがもう一つ印象に残らなかったのがちと残念。彼の養女、ミステリアスなクール・ビューティー怜は続編がでれば主人公クラスに大きく化けるとは思うのだが。

東京五輪が舞台となっていることもあって、現実の世界とリンクしたかのような社会問題が浮上してくるのはもはや真山さんの専売特許。事実は小説より奇なり。実際はもっとおどろおどろしいのかと考えると、それはそれで怖いなと竦んでしまうような内容でもあった。社会派小説が好きな人には外さない一冊。

追伸。そもそも傭兵って日本ではあまり馴染みがないが、海外では一般的なのかな?そうだとすると、そのうち日本人でも傭兵を職業に希望する人が出てくるんじゃないかと思う。どうやったら傭兵になれるのか分からないけど、日本人傭兵は少ないだろうから、日本語(と英語)を話せる傭兵は重宝されるかも知れない。

0 件のコメント:

コメントを投稿