2019年11月14日木曜日

タレンタイム~優しい歌~


故ヤスミン・アフマド監督の最高傑作と言われるタレンタイムを観てきた。本作はマレーシアで2009年に公開された作品。僕はヤスミン監督の作品も、マレーシア映画を観るのも(たぶん)初めてだったけど、完全に一目惚れしてしまった。

とある学校で開催される「タレンタイム」というマレーシア版「スター誕生」のような音楽コンペティションに参加する若者たちと、その家族の絆を描いたヒューマン・ドラマ。冒頭に流れるドビュッシーの「月の光」が美しく、そして優しく、象徴的にこの映画を伴奏する。

主人公の一人が劇中で歌う「ANGEL」は、一度聴いたら恋に落ちずにいられない名曲。好きな人のことを想う気持ちを、夜中に秘かに日記に記すような、しっとりとした泣きのバラード。僕なんかが言うとなんだが、まるで胸が締め付けられるような焦がれる気持ちになる。

母への想い、恋人への想い、きょうだいへの想い、親友への想い、本作では本当にさまざまカタチの、大切な人への想いが、飾らずに真摯に描かれている。そういう「想い」は、早すぎる日常に忘れがちで、気付いた時には遅すぎたりしがち。だからこそ、この作品に出会えてよかったと思う。


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