今世紀最悪と言われるシリア内戦について何が起こっているのか知りたくて手に取った一冊。でもこの本の原題は「The New Odyssey The Story of Europian's Refugee Crisis」。ちょっと意訳し過ぎじゃない?
1月7日の東京新聞で、シリア難民問題を追ったジャーナリストの死亡者数が昨年で150名以上となったと知った。日本ではほとんど報道されない問題だけど、世界的には正に命懸けの報道がされている大問題なのだと思った。
本書は、一人のシリア人男性への同行取材を軸に内容構成されているが、基本的には他の中東諸国やアフリカを含め、ヨーロッパを目指す難民たちについて取材している。だからこそ問題の複雑さと根深さを感じる内容になっている。
ヨーロッパをはじめとする受け入れ国がたとえ拒否しても難民は減らない。ならば受け入れ制度を整え、管理入国を徹底することの方が、テロの可能性を摘むことにつながる。というスタンスで受け入れ国側の寛容政策と人道支援の必要性も訴えている。
僕もそう思うのだが、実際に日本に数十万人の難民がやって来ることを想像すると、当たり前だけど慎重に考えざるを得ない。イスラム過激派にとって日本は敵なのだから、難民に紛れてのテロリスト入国を心配する。
一人で考えても煮詰まるし、そもそも情報が少ないので、当面は関連する書籍を読んで、歴史的背景や何がアクチュアルで起こっているのか、それらを知ることに努めたいと思います。